バーバリアンとして生き残る – 第91話 「プレイヤー (3)」要約と考察
第91話は、主人公ビョルン=李ハンスが初めて「ゴーストバスターズ」の集会に正式参加し、そこで自身の“正体”が思わぬ形で暴かれるエピソードです。現実世界と異世界をつなぐ奇妙な精神空間の描写に加え、彼が過去に残した“足跡”が仲間たちに与える衝撃が描かれます。
李ハンスの肉体で目覚める
パスワードを入力した瞬間、ビョルンは驚愕します。
そこにあったのは――筋骨隆々の蛮族の体ではなく、自分自身、李ハンスの肉体。
- 身長175cm、平均的な体格、柔らかな手。
- 部屋の景色も現実そのまま:本棚、黄ばんだベッド、パソコン。
- 冷蔵庫の中には大量の缶コーラ。だが味覚はなく、ただの水のよう。
「懐かしさ」と「違和感」が交錯する光景でした。
ゴーストバスターズの案内人 ― ソウルクイーンズ
玄関のインターホンを鳴らしたのは、金髪の女性。
彼女は自身を 「ゴーストバスターズの案内人ソウルクイーンズ」 と名乗ります。
- 彼女の視界には「白い空間」しか見えていない。
- 精神世界は“本人が最も安心できる空間”として形作られる。
- 通常は外部からでもその部屋の形がある程度見えるのに、ビョルンの場合は一切見えない。
彼女はそれを「防御機制が強すぎる例外」と評し、興味と警戒をにじませます。
さらに彼女はNPCとプレイヤーの見分け方を説明します。
- 部屋の様子や服装が“現代的”であればプレイヤー。
- 逆にNPCはそれを想像できない。
- これにより、偽装して集会に紛れ込むことはほぼ不可能。
結果、ビョルンは正式に「ゴーストバスターズ」の一員として承認されます。
コミュニティのシステム
彼は指示通りパソコンを起動し、提示されたコードを入力。
そこにはオンライン掲示板のようなシステムが現れます。
- ニックネームを登録(変更不可)。
- チャットルームは「国別」「年代別」「職種別」など多様。
- 参加者同士で交流可能。
ソウルクイーンズは「前作Stone Ivanの掲示板で使っていたハンドルを使う人が多い」と説明。
それを参考にビョルンも自分の過去のハンドルを入力するも――すでに使用済み。
結局、一文字変えて 「Elfnunna」 を登録します。
(彼にとってはただの使い慣れたIDでした。)
ニュービールームへ
「慣れるため」として、彼は初心者専用の「Newbie Room」を選択。
そこは焚火を囲む十数人のプレイヤーが集うキャンプのような空間でした。
- 人種も国籍も様々。
- 互いを同胞として温かく迎え合う雰囲気。
- 名前は頭上に浮かぶニックネーム表示で確認可能。
部屋主の「DarkMan」に指示され、ビョルンも「ニックネーム表示」をオンにします。
“Elfnunna”という名前の衝撃
そして、ついに彼の頭上に現れる名前――
Elfnunna
その瞬間、場が凍り付きます。
「……」
「……」
静寂の後、一斉にざわめきが広がる。
- 「Elfnunna?! あのステータスガイドを書いた人か?」
- 「マジかよ、あれって運営スタッフだと思ってたぞ!」
- 「やっぱり韓国人だったんだ!」
大混乱の中、皆が口々に彼へ詰め寄ります。
当の本人ビョルンはただ呆然とし、心の中でつぶやく――
「……また面倒なことになったな」
第91話のテーマと考察
- 現実への回帰感覚
- 冷蔵庫のコーラや部屋の景色は懐かしさを呼ぶが、味覚がないことで“本当の帰還ではない”ことを痛感させる。
- 精神世界のルール
- 「最も安らげる空間」が可視化される仕組み。
- しかしビョルンはそれを他者に見せない“異例の存在”として描かれ、彼の特異性が強調される。
- ゴーストバスターズの正体
- プレイヤーたちが匿名で集うコミュニティ。
- NPC排除の仕組みや、Stone Ivan時代の繋がりなど、ゲーム世界とのリンクがさらに強化される。
- Elfnunnaの暴露
- ビョルンが過去に使っていたIDが“有名人”だったことが判明。
- 彼は意図せず注目の的となり、匿名で安全に情報を得ようという計画が崩れ去る。
まとめ
第91話「プレイヤー (3)」は、これまでの流れを大きく変える回でした。
- 主人公が李ハンスの体で“精神世界”に戻り、現実と異世界の境界がさらに曖昧になる。
- ゴーストバスターズというプレイヤー専用の秘密コミュニティが描かれ、その仕組みやセキュリティが示される。
- そして最後に、ビョルンの旧ID「Elfnunna」が思わぬ知名度を持っていたことが明らかになり、彼の立場に新たな波乱を呼び込む。
次回、第92話では――「Elfnunna」という名前が持つ意味と、それに集まる他プレイヤーたちの反応がさらに掘り下げられることになるでしょう。