【転生したらバーバリアンだった】第158話 要約|“ライオン”が投げた爆弾と、仮面の下で動き出す推理戦
1) 冒頭――“聖遺物の話”をあえて出した理由
円卓型の秘密サロン**「円卓の見張り(Watchers of the Round Table)」で、ビョルン(仮面名:ライオン)はあえて神殿の“聖遺物”ネタを切った。
それは自分に関わる話ゆえに少し不安はあるが、以下の三つの狙い**が大きい。
- 神秘的な人格の維持
迷宮以外の高位情報を“手土産”にすることで、「どこからそれを?」という出自の謎を強化。直前に場を煽ったクラウンの流れにも合致し、只者ではない像を上書きできる。 - 他メンバーの“手の内”を引き出す
価値ある情報を提示すれば、フォックス(時事・人事に強い)、クレッセントムーン(妖精関連に通じる)、アントラー(王都政局筋)らが“それに見合う駒”を出さざるを得ない。
手札を出す=素性の断片をさらすこと。身元推理の材料になる。 - “神託の受領者”特定を外部化
クラウンは神託(オラクル)案件に強い興味を示していた。ならば「神託を受けた人物の特定情報を買う」と公言し、調査役をクラウン側に委ねる。
彼ほどの情報網でも掴めないなら、神殿の秘匿は鉄壁だと逆検証できる。
この三段構えで、ライオンは**“喋るほどに沈黙する”**立ち回りを貫く。
2) 第二ラウンド――仮面たちの“供物”
司会役のフォックスの掛け声で二巡目へ。
- ゴブリン:最初の提示は却下(“聖女の本名”ネタは安直すぎと総ツッコミ)。出直しで神殿のゴシップ――「第2近衛聖騎士隊長は、もしや同性愛者では?」という弱み候補。この世界観では重罪として扱われ得るため、脅しの種としては有効と判断され、辛くも通過。
- フォックス:天上競売(Celestial Auction House)で出る“ダブルナンバー品”の正体を公開。
「同じ情報を二度売るな」とアントラーが渋るが、市場価値が段違いと見なされ、実質黙認。 - アントラー:王都の政局ネタ。
クレッセントムーンは「重罪で後継資格を剥奪された妖精の後継者」の話を投下。どれも地上権力の生々しい裏だ。 - クラウン:前回は**“6人連結の絆魔術”という核弾頭を放ったが、今回は一見軽い雑学**―― 「仮面の初回選択は“その者の運命に最も近いもの”を無意識に選ぶ、とマスターが言った」
と、“運命”というキーワードを置く。
「有益性が薄い」と苦言も出るが、彼はライオンを横目に含み笑い。
言外に「お前の“ライオン”も運命だ」と刺してくる。
ライオンは相変わらず沈黙で受け流す。不用意な賛否は素材提供に等しいからだ。
3) ライオンの一撃――「復活の石(Stone of Resurrection)」
順番が回り、ライオンは高難度かつ“知っても使えない”情報を投入する。
「復活の石は存在する」
円卓中央の宝玉が緑光を灯し、真が確定――場が凍り付く。
この世界でも噂レベルの存在。条件が狂っているため、狙って得るのはほぼ不可能。
それでも**“確かに在る”**と断言されれば、希望と絶望が同時に立ち上がる。
- 「本当に死人を蘇らせるのか」と問うクレッセントムーンに、ライオンは**「蘇らせられる」とだけ答える。
ただし具体は一切伏せる**――さらなる対価を引き出すためだ。 - 「なら何に興味がある?」と畳みかけられても、返答は 「自分でも分からない」
という中二病的答辞。
**“不確定な器”**を演じることで、各人がそれぞれの最良手を勝手に持ち込む図を作る。
結果、このラウンドはゴブリンとアントラーが「弾切れ」を宣言して離脱。
しかし解散間際、全員がライオンの総評を待って目線を寄せる――
前回、彼に**「退屈だ」と切って捨てられた傷が残っているのだ。
ライオンは薄笑で**一言。
「次を楽しみにしている」
“合格”の判子を静かに押し、次の投資を促して席を立つ。
4) ライオン退室後――“正体推理会”が過熱
残った面々はブレインストーミングを開始。
テーマはただ一つ――「ライオンとは何者か」。
- ゴブリン:
「神託を即座に掴み、聖遺物や復活の石まで…教会中枢(枢機卿・隊長級)本人かも」と推理。
→ クラウンが即否定。 「そんな浅い層じゃない。誰かの“駒”の可能性も考えろ」 - アントラー:
「ノアーク討伐計画にも無反応。王家の中枢にも独自の耳目があるはず」 - フォックス:
「ダブルナンバー品にも興味薄。装備依存していない=純戦闘力が既に規格外」 - クラウン:
「殺気の精度がおかしい。何千人か殺していないと、あの空気を纏えない」 - クレッセントムーン(核心):
「復活の石の話題を出した時、私を真っ直ぐ見た。私の事情を知っている節がある」
→ 面々が一斉に真顔。**“個別の内情を把握している”**という示唆は、情報優位の象徴だからだ。
さらに議論は仮面そのものへ。
「最初に選ぶ仮面は“運命”に近い」(クラウン談)
「ライオン=王権の象徴」「雇われでは終わらない」「**崖落とし(弱肉強食の寓話)**を超える生存者」など、象徴解釈が飛び交う。
(ゴブリンは心の中でだけ「一夫多妻の暗喩=女運最強?」と的外れな連想をして黙殺)
結論――“教会・王家・地下”の複層にアクセスし得る、正体不詳の実力者。
駒であっても**主(マスター)**はさらに巨大。
次回までに“ライオンが唸る餌”を用意せよ、が暗黙の合意になる。
5) 章の意味合いと戦略的評価
- 情報の出し入れの粒度調整
ライオンは**“知っても動けない高位情報”(復活の石)を投げ、自分の安全を守りつつ場の負債を増やす。
追う側(他メンバー)は調査コスト**を支払い続けるため、次回も強い駒を持ってこざるを得ない。 - “運命”という伏線
クラウンの「マスク=運命論」は他人事に見せかけた踏み絵。
ライオン=王/覇の暗喩が、ビョルンの“部族長(チーフ)化”計画と美しく重なる。 - 教会リーク線の検証
クラウンが神託受領者の特定に失敗すれば、神殿側の秘匿性が実証され、ビョルンは安心して外回り(ノアーク監視・竜人側案件)を進められる。 - 対価設計
「何に興味があるか“自分でも不明”」は、無数の可能性に賭けさせる最強の誘因。
全員を“別方向に走らせる”ことで、網羅的な外部R&Dを無料で回せる。
6) 今後の注目点(読者向け補助線)
- 神託受領者バレの可否:クラウンの探索結果が防諜力の物差しに。
- ノアーク×オルクルス:王家・神殿・ギルドの動員線が立てば、市街地が一時的に戦時モードへ。
- “復活の石”の揺さぶり:クレッセントムーン個人線が大きく動く可能性。
- 仮面=運命論:ライオン=王権の象徴が、**ビョルンの部族改革(部族長就任構想)**を物語外側から後押し。
ひと口まとめ
- ライオンは聖遺物・神託線を“餌”にし、相手の手の内と素性を炙り出す。
- 「復活の石」実在宣言で、場に希望と焦燥を撒き、**次回の投資(情報供出)**を約束させた。
- 退室後、面々は正体推理に雪崩込み、**「教会中枢の駒/王家中枢への耳」**とまで評価が肥大。
- “仮面=運命”の示唆は、ライオン=覇者の記号としてビョルンの将来像(部族長)と響き合う。