― 2024年10月スタートの「OBD車検」対応で失敗しないために ―
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目次
1. そもそもOBD2って何?
2. つまずきポイント① ― 「自分のクルマは対応しているの?」
3. つまずきポイント② ― OBDポートが見つからない
4. つまずきポイント③ ― Bluetoothアダプターがスマホと接続できない
5. つまずきポイント④ ― エラーコードの意味がわからない
6. つまずきポイント⑤ ― コード消去は危険?
7. つまずきポイント⑥ ― アップデートが有料で止まる
8. つまずきポイント⑦ ― CAN FDなど新プロトコル未対応
9. つまずきポイント⑧ ― “セキュリティリスク”って何?
10. つまずきポイント⑨ ― 補助金の申請方法が難しい
11. つまずきポイント⑩ ― OBD車検で必要な機能は?
12. まとめ:まず買う前に確認したいチェックリスト
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1. そもそもOBD2って何?
OBD(On-Board Diagnostics) は車載の自己診断機能。1996年以降の多くの車に規格化されたOBD2ポートがあり、ここに診断機をつなぐとトラブルコード(DTC)やライブデータを取得できます。
日本では2024年10月(輸入車は2025年10月)以降の車検で「電子制御装置のOBD検査」が義務化され、故障コード放置は車検不合格の対象になりました。
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2. つまずきポイント① ― 「自分のクルマは対応しているの?」
✔ 原因
車種年式によっては旧規格(OBD1)、商用CAN、最近だとCAN FDなど通信プロトコルが違う。
💡 解決策
1. 車検証の「型式指定番号」でググる → メーカー公式サイトの対応表で確認。
2. 購入予定の診断機の対応プロトコル欄(ISO15765-4, CAN FD, K-Line など)をチェック。
例:AUTEL MaxiSys MS906 Pro は最新CAN FD対応。
例:XTOOL D7 はJ1850にも対応し、軽トラや旧車でも使いやすい。
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3. つまずきポイント② ― OBDポートが見つからない
✔ 原因
運転席足元でも右ハンドルと左ハンドルで位置が逆、ヒューズボックス裏に隠れている…など。
💡 解決策
**車種名+「OBDポート 位置」**で画像検索。
見つからない場合は「車検ステッカーのQRコード」を読み取り → 国交省HPのPDFでOBD位置図を確認(令和6年車検車両は掲載義務)。
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4. つまずきポイント③ ― Bluetoothアダプターがスマホと接続できない
✔ 原因
iPhoneはBLE専用チップ、AndroidはClassic BluetoothもOK…など仕様差。
アプリが“ELM327 v2.2”など古いファームに非対応。
💡 解決策
1. アプリ対応表を読む(Torque、Car Scanner、OBDeleven 等)。
2. 接続先は「設定→Bluetooth」ではなくアプリ内ペアリングが推奨の機種もある。
3. 点火ON→5 秒待ってからアダプターを差すと成功率UP。
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5. つまずきポイント④ ― エラーコードの意味がわからない
✔ 原因
「P0133」など数字だけ表示され、日本語訳が出ない。
💡 解決策
AUTEL・XTOOLなどプロ機は自動で日本語説明を表示。
ELM327系は「Pコード辞書サイト」で検索→概要→故障候補部品をExcelにメモ。
Freeze Frameデータ(発生時の水温・回転数)を一緒に見て絞り込み。
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6. つまずきポイント⑤ ― コード消去は危険?
✔ 原因
ABSやエアバッグコードを消すと学習値もリセットされ、再キャリブレーションが必要になる車種も。
💡 解決策
1. DTC読取り→スクリーンショット保存 → まず情報共有。
2. 同じ症状が再発したら修理、再発しなければ誤検知と判断。
3. 車検前は勝手に消さず、整備工場で「OBD検査対策」含め相談。
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7. つまずきポイント⑥ ― アップデートが有料で止まる
✔ 原因
AUTELやXTOOLのクラウド車種データは年次サブスク。切れると新車のECUに入れない。
💡 解決策
購入時に**“3 年無料更新”**モデルを選ぶ。
Amazonでは販売店独自の延長コードが付くことも。
更新を切っても旧車種診断は継続可(が多い)ので焦らず用途を考える。
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8. つまずきポイント⑦ ― CAN FDなど新プロトコル未対応
✔ 原因
2023年以降の一部トヨタ・マツダ・日産はCAN FD採用。古い診断機では通信失敗。
💡 解決策
MS906 ProやLaunch X431 Pros Vなど**“CAN FD対応”表記**があるかチェック。
Bluetoothアダプターでも「ELM327+canfd対応」版が登場している。
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9. つまずきポイント⑧ ― “セキュリティリスク”って何?
✔ 原因
安価なELM327互換ドングルは暗号化が甘く、ハッキング実証例もある。
💡 解決策
1. 自動接続をオフ、使わない時は必ずポートから抜く。
2. 安全基準を公表するメーカー品(OBDLink MX+ など)を選ぶ。
3. スマホのOSアップデート直後はアプリ権限も再確認。
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10. つまずきポイント⑨ ― 補助金の申請方法が難しい
✔ 原因
業者向け「スキャンツール導入補助」は書類が多い。
💡 解決策
各県の整備振興会HP→スキャンツール補助ページから様式DL。
領収書とシリアル番号写真が必須。先着順なので購入前に予約。
例:AUTEL MS906 Proは補助対象機種リストに掲載。
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11. つまずきポイント⑩ ― OBD車検で必要な機能は?
項目 必要度 解説
DTC読取り/消去 ★★★ 基本中の基本。必須。
I/Mモニター表示 ★★★ 車検は“未完了モニター数”で判定。
OBD車検レポート印刷 ★★☆ 業者は印刷 or PDF提出が楽。
双方向アクティブテスト ★★☆ ブレーキ/ステアリング再学習に便利。
ECUコーディング ★☆☆ 個人使用では不要だがプロは重宝。
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12. まとめ:買う前にチェックリスト
1. 対応プロトコル(CAN FD, DoIP)
2. アップデート費用と期間
3. 日本語メニュー & サポート
4. 用途:DIY点検?本格整備?
5. セキュリティ対策(ドングル抜き忘れ注意)
6. OBD車検レポート機能(業者なら必須)
7. 補助金対象かどうか
> 迷ったら…
個人DIY派 → XTOOL D7(1台完結、双方向テスト◎)
スマホで手軽派 → ELM327+Car Scanner(ただしセキュリティは自己責任)
業者/副業派 → AUTEL MS906 Pro(補助金でコスト圧縮)
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【初心者必読】OBD2診断機でつまずきやすい10のポイントと解決策
