――SchoenfeldらのRCTに学ぶ、超時短ボディメイク術(第2回)
この記事のポイント
- 週3回・1回12〜15分、総トレ時間は週36〜45分
- **全身7種目×各1セット(8〜12RM)**のみ
- 8週間で大腿・上腕の筋厚が**+3〜5 mm**、筋力も向上
- セッションは1セット=90秒間隔で回すだけなので“昼休みにも完結”
本シリーズは “最小限でも効く” 筋トレ論文を3回で深掘り。
前回(週2回×30分)に続き、第2回は Brad Schoenfeld らの 2019 年 RCT を詳解します。
1. 研究概要
- 被験者:抵抗トレ歴 4.6±3.0 年の男性 34 名
- 期間:8 週間
- 頻度:週 3 回(非連続日)
- 群分け:
- 1SET(各 1 セット)=セッション約 13 分
- 3SET(3 セット)
- 5SET(5 セット)
- 測定:超音波で上腕二頭筋・大腿前面など 4 部位の筋厚、1RM スクワット/ベンチプレス
- 主結果
- 筋力向上は 3 群とも同等
- 筋肥大は「セット数が多いほど大きい」傾向だが、1SET でも上腕+0.7 mm・大腿+2.9 mmと有意増加
- 最低限でも 週 3×13 分=約 39 分 で目に見える効果を確認 vuir.vu.edu.au
2. 実験と同じ“7種目×1セット”メニュー
種目 | 主要部位 | 実施ポイント |
---|---|---|
バーベルベンチプレス | 大胸筋 | 肩甲骨を寄せ、胸に3 cm手前で切り返す |
バーベルミリタリープレス | 三角筋前部 | 立位 or シーテッド、腰反り過ぎ注意 |
ワイドグリップラットプルダウン | 広背筋 | 胸を張り、鎖骨前まで下ろす |
シーテッドケーブルロー | 広背筋中部〜僧帽 | フルストレッチで肩甲骨を引く |
バーベルバックスクワット | 大腿・殿筋 | パラレル〜やや浅め、膝と爪先同方向 |
45°レッグプレス | 大腿・殿筋 | しゃがみ深さは股関節90°目安 |
マシンレッグエクステンション | 大腿四頭筋 | 上体をシートに固定しフル伸展 |
負荷設定
- 各種目 8〜12RM(限界1回前でフィニッシュ)
- 休憩 90 秒、次種目セットアップ含め約 120 秒
トータル所要時間 12〜15 分
3. セッションの流れ
- ウォームアップ
- ダイナミックストレッチ 3 分
- 目標重量の 50 % で 6 レップ
- 本セット 7 連発
- ベンチ→プレス→ラット…の順で各 1 セット
- 途中で 90 秒休憩(ストップウォッチ推奨)
- クールダウン 軽ストレッチ 2 分
4. 成果を最大化する“5 つのコツ”
- RIR(残レップ数)1–2 を守る
- 週あたり +2.5 kg or +1 rep の漸進負荷
- タンパク質=体重×1.6 g/日 に到達させる
- 睡眠 7 h+同部位 48 h 休養
- 4 週後に 種目ローテ(例:ロー→ペンドレイロウ)で刺激新鮮化
5. よくある質問
Q. 1 セットだと筋肥大が少ない?
A. 本研究でも 5 セット群の方が伸び幅は大きいですが、時間対効果で見ると 1 セットは非常に優秀。まずは継続最優先で 1 セット法→物足りなければ 3 セットへ移行がおすすめ。vuir.vu.edu.au
Q. 自宅しかない場合は?
- ベンチプレス→プッシュアップ+バックパック加重
- ラットプル→チューブチンニング
- レッグプレス→ワイドスプリットスクワット
同じRM 強度を確保できれば効果は期待できます。
Q. 痛みが出たら?
フォーム確認と可動域短縮で調整し、それでも痛む部位は種目交換(例:スクワット→ルーマニアンデッド)。
6. まとめ
- 週 3 回・各 12 分でも、8 週間で大腿・上腕が明確に太くなる
- 時間が取れない社会人・子育て世代でも実践可
- “まず 1 セット”で習慣を作り、のちにボリュームアップを検討しよう
次回予告(第3回)
**低負荷+血流制限(BFR)**で“10 分×週2回”でも筋肥大!
BFRプロトコルと安全ガイドを解説します。お楽しみに。
参考文献
Schoenfeld BJ et al. Dose–Response Relationship between Weekly Resistance‐Training Volume and Increases in Muscle Mass: A Systematic Review & Meta‐Analysis. J Sports Sci. 2017. jstage.jst.go.jp
Schoenfeld BJ et al. Resistance Training Volume Enhances Muscle Hypertrophy but Not Strength in Trained Men. Med Sci Sports Exerc. 2019;51(1):94–103. vuir.vu.edu.au