以前までに楽天証券やSBI証券で損出しをする際の注意点について検討したが、今回マネックス証券での損出しについて検討した。まず結論から入るが、以下のとおりである。
「マネックス証券で米国株の損出しをする場合は、評価損が-5%以上の株を売らないと損する」
この後、なぜこの結論に至るのか書くが、とりあえず2021年12月1日現在はだとそう思ってもらって構わないだろう。
ではなぜこのようになるのか検証したい。
まずマネックス証券の米国株にかかる手数料だが、以下のようになっている。
引用:https://info.monex.co.jp/us-stock/guide/fee.html
ここで最低手数料0米ドルとあるが、これはどういうことか、ここには書いていない。
下の注意書きにSEC Feeが売却時に、約定代金1米ドルにつき、0.0000051米ドルかかると書いてあるが、これは率に直すと0.00051%だ。正直小さすぎるので、これは無視して考えることする。
小数点以下第3位切上げ、最低0.01米ドルというのが実質手数料無料になるかどうかのラインを決めていると思われる。
つまり約定代金の0.495%の手数料がとられるが、それが0.01米ドル以下であれば無料になるということである。(まあ、1円以下の単位は無いので当然か。)
では手数料が無料になる最高の約定代金はいくらか計算してみたい。
0.01米ドル÷0.00495=2.02米ドル(約220円)
これはSBI証券と同じ額で、楽天証券の2.22米ドル(約250円)より少し低いが、これも正直どうでもいいレベルだ。
というかむしろ無料になる約定代金がいくらか計算しないとわからないようになっている点を鑑みると、SBI証券や楽天証券よりも悪質である。ではほとんどの人が当てはまるであろう手数料は0.495%だろう
ここで約定金額とあるが、これは購入時と売却時それぞれにかかる金額のことである。
これはつまり、買って売るだけで、ほぼ1%の手数料がとられる(0.495 x 2=0.99[%])ということである。
ではここで損出しする場合を考えてみよう。米国株の利益にかかる税金は年末調整で取り返せるのでかかっていないとして、残る税金を約20%と見積もる。
また、初めにX円で購入した株がa%価格が下落しているとする。
すると現在の価格は(1-a)X円になる。(ただしaは0<a<1とする。)
これを損出しするために売却して、同じ金額で購入した場合、1%の手数料がとられるので、マネックス証券に支払う手数料は0.01(1-a)Xとなる。
要はこのマネックス証券に支払う手数料よりも還付される税金のほうが高ければよい。
ここで還付される税金を計算すると以下の通り。
買った時の価格がX円で、売るとき(1-a)Xなので、損した金額を求めるとX-(1-a)X=aXとなる。
そしてこの損した金額分、配当金や売却益が出ていた場合、損益通算できるので、この金額に20%かけた額が還付される額となる。計算すると0.2aXとなる。
以上から最終的にお得になった金額は以下のように計算できる。(まあ、これだけでは差し引きを求めるだけだが一応以下のようになる。)
( 還付される額 )ー( マネックス証券に支払う手数料 )
= 0.2aX ー 0.01(1-a)X
=(0.2aー0.01+0.01a)X
=(0.21aー0.01)X
この差し引きで出た上記の値が0以上になれば還付された金額のほうが大きいということなので、以下のようになる。
(0.21aー0.01)X ≧0
0.21aー0.01≧0
0.21a≧0.01
a≧0.01/0.21
a≧4.76%
つまりaは「株がa%下落しているとする」としたわけだが、aが4.76%よりも大きい場合、還付される金額のほうが大きいということになる。ほぼ同じだが少し言い換えると以下のようになる。
「マネックス証券で米国株の損出しをする場合は、評価損が-4.76%(約5%)以上の株を売らないと損する」
また、この時にお得になる金額だが、お得になる金額は0.21(a-0.0476)X円になる。
以上。
少し例を考えてみたいと思う。例えば1万円で購入した株があったとして、現在の価格が9000円(10%の下落)だとする。
これを損出しに利用するために売却して、同じ価格で購入したとする。
するとマネックス証券に支払う手数料は9000×0.01=90円
還付される金額は(10000ー9000)×0.2=200円
よってお得になった金額は200-90=110円となる。
ここで先ほど お得になる金額は0.21(a-0.0476)X円 といったが、この式に当てはめて考えると以下の通り。
0.21(0.1-0.0476)×10000=110円となり、先ほどの計算結果と一致する。
ここで例えば3%の含み損がある場合はどうだろう。また1万円で購入した株があったとして、現在の価格が9700円(3%の下落)だとする。
先ほどの計算式より、お得になる金額は0.21(0.03-0.0476)×10000=ー37円となる。これは、損出ししようと思って損失を確定したのに、マネックス証券に支払う手数料のほうが大きいために37円損してしまうということを示している。
株式にかかるお金は、端数が中途半端にあるのでざっくりとした計算方法になるがマネックス証券で損出しをする場合は5%が一つの目安になるだろう。
0.495%で計算した値が22米ドルよりも小さくなる場合、つまり22米ドル÷0.00495=4,444.45米ドル 以上の約定代金の場合はまた計算方法は別になるが、その場合は損益分岐点が5%よりも下がってくる。
手数料が22米ドルで固定されるためだが、それは今度書くか。計算機があると便利だから作ってみるか。
■まとめ
「マネックス証券で米国株の損出しをする場合は、評価損が-5%以上の株を売らないと損する」
厳密にいえば4.76%だが簡単に言えばとにかくこれに尽きる。(2021年12月18日現在)