バーバリアンとして生き残る – 第90話 「プレイヤー (2)」要約と考察
第90話では、二つの大きな流れが並行して描かれます。
ひとつはラグナが語る「次元崩壊」という迷宮最大級の災厄と、それを巡る情報の拡散。もうひとつは妖精姉妹ダリアとエルウェンの視点。彼女の異様な執念の裏に潜む“エッセンスの副作用”が明かされます。
そしてラストでは、ゴーストバスターズの集会に参加したビョルンが“白い空間”で不可解なコンピュータと対峙する――物語は再び大きな謎へ踏み込み始めます。
ラグナの警告 – 「次元崩壊」の噂
図書館にて、司書ラグナはビョルンに「近々、迷宮で次元崩壊が起こるかもしれない」と告げます。
- 次元崩壊は予兆もなく発生する、迷宮最大級の災厄。
- ゲーム的には“発生率1%以下”の低確率イベント。
- 序盤では対処不能。プレイヤー視点ならリセットするしかなかった存在。
ビョルンは一見冷静に聞き流しますが、内心では「これこそ不安の正体ではないか」と直感していました。
ラグナの情報源は、タルテイン学派に属する魔導士 チェルナル・ペルガン。彼は長年「次元崩壊」を研究しているという人物です。しかしそれ以上の情報は得られず、ビョルンは自力で調べる必要を感じます。
サイドストーリー – 妖精姉妹ダリアとエルウェン
場面は変わり、銀髪の妖精ダリアの視点。
妹エルウェンは三か月前から人が変わったように修練に没頭し、四大精霊すべてと契約、すでに三体を覚醒させています。弓術や短剣術まで飛躍的に上達し、誰もが認める成長を遂げていました。
しかし、その変化の背景には“歪み”が潜んでいます。
- 夜中に「強くならなきゃ、全部手に入れるために……」と呟き続ける。
- それは決意というより自己洗脳に近い。
- ダリアは違和感を抱きつつも、真相を探ります。
彼女はギルドで購入した《下級エッセンス事典》を手に取り、妹が取り込んできたエッセンスを調査。
- 【ゴブリンアーチャー】 … 執着(低)
- 【スティールヒル・ストーカー】 … 執着(中)
- 【カニバロ】 … 執着(高)
三つすべてに「執着(Obsession)」という特性が含まれていたのです。
つまり、エルウェンが異常なまでに“強さに執着”するのは、彼女自身の意思だけでなく、エッセンスの影響によるものだった。
ダリアは「今後、別のエッセンスを吸収したときに入れ替えればいい」と結論づけますが――同時に恐ろしい可能性に気づきます。
「もしエルウェンがビョルンの生存を知ったら、この“執着”はどんな方向へ暴走するのか?」
この問いを残して、シーンは再びビョルンへ。
広がる噂 – 出所不明の「次元崩壊」情報
十日後。
ビョルンはチェルナル・ペルガンに会おうと試みますが、魔塔のレイヴンすらその名を知りませんでした。
しかしその頃には――
- 「迷宮で次元崩壊が近い」という噂が街中に拡散。
- ミーシャすら慌てて報告してくるほど広まっていた。
- だが、その噂には具体的な根拠も発信源も存在しない。
最初は根も葉もない話だったのに、今では「もっともらしい尾ひれ」がついて事実のように語られている。
ビョルンは直感します。
「誰かが意図的に噂を流している」 と。
それが誰なのか――ギルドか、貴族か、あるいは別の組織か。彼には知る術がありません。
ゴーストバスターズへの接続 – 白い空間
焦燥を抱えるビョルンは、ゴーストバスターズから送られた“匿名性を保証する錠剤”を予定より一か月早く服用。
これは“霊界会合”へ接続するためのアイテムで、毎月15日の真夜中に発動します。
三日後――
彼はついに、魂が引き寄せられる感覚を体験。
目を開くと、そこは上下の区別もない純白の空間。
ただ一つ、場違いなほど現実的な コンピュータ が置かれていました。
黒いDOS画面に映し出された文字は――
[パスワードを入力してください]
そしてビョルンは迷いなくタイプします。
「Rafdonia’s king, Mother fucker」
(かつて“追伸”かと思ったあの文言が、まさにパスワードだったのです。)
第90話のテーマと意味
- 「次元崩壊」という新たな災厄の提示
- フロアマスターや盗賊団以上に絶望的な脅威として、迷宮世界の根幹を揺るがす現象が導入された。
- エッセンスの副作用
- エルウェンの“強さへの執着”が、単なる心理ではなくゲーム的数値「Obsession」に由来することが判明。これは今後のキャラクター崩壊や衝突の伏線となる。
- 噂と情報操作
- 出所不明の噂が瞬く間に拡散する様子は、現実社会の情報操作を反映。裏で糸を引く存在の影が示唆される。
- 現実と虚構の融合
- 白い空間とコンピュータの登場は、「ゲーム」と「現実」が交錯する決定的なイメージ。パスワード入力のシーンはメタ的緊張感を最高潮に引き上げる。
まとめ
第90話「プレイヤー (2)」は、世界観の“裏側”に切り込む重要な回でした。
- ラグナからの警告によって「次元崩壊」という最大級の脅威が読者に提示される。
- サイドで描かれるエルウェンの変化は、エッセンスの副作用という新たなルールを明らかにし、今後の人間関係に不穏な影を落とす。
- 出所不明の噂が広がる異常な街の空気は、陰謀の存在を強く示唆。
- そして最後に登場する白い空間とコンピュータ――物語は「プレイヤー」と「世界の真実」を巡る核心へと踏み込もうとしています。
次回、第91話で明かされるのは、この“集会”の正体と、ビョルンが掴む新たな真実でしょう。