【転生したらバーバリアンだった】第160話 要約|“竜の祝福”を賭けた土俵作りと、もう一つの火種
1) オープニング:雄叫びの意味と“茶番”の回収
古代柱が林立する竜の神殿。主人公ビョルン(=ビョルン・ヤンデル)は、面前の竜人(ドラゴニアン)の王にバーバリアンの雄叫びをぶつけ、ドラゴン・フィアーによる威圧を正面突破。
一拍置いて竜人は素の口調に戻り、「さっきの無数の“光る目”は幻術だった」と白状。“初見で気圧すれば交渉で有利”という側近の進言を、本人は「子供じみている」と反対していたらしい。
→ つまり、威圧合戦は引き分け。以後の交渉を対等の座で始められる地ならしに成功。
- 竜人の名は長大な本名フィルセアライドールムス。通常の**第二名「ラフィール(Lafir)」**で呼べと提案。
- ビョルンも「ヤンデル(Yandel)で良い」と応じ、フランクな呼称で以後の対話が進む。
2) ドラゴンスレイヤーの確認と“血の縁”
ラフィールはまず**《ドラゴンスレイヤー》の実物確認を要求。ビョルンが背嚢から抜き地面に突き立てると、ラフィールは手に取って「本物だ」と呟く。そこに滲むのは弔意と痛恨**。
続けてビョルンが**レガル・ヴァゴス(=現・ドラゴンスレイヤー)**と遭遇した経緯(記憶喪失・黒市流出品の件はぼかしつつ)を要約。
ラフィールの口から出た言葉は――
「彼は私の弟だ。だから止められなかった」
ドラゴンスレイヤーは**“竜王の実弟”。本件は単なるお家騒動ではなく、竜族の負債としてラフィールの肩に重く乗る。
ラフィールは返還の秘匿と“恩人待遇”を約束し、主題は対価**の協議へ。
3) 竜王側のオファー:金・同伴者・アクロ装備
ビョルンは**「まずそちらの提案を」**と切り返し、ラフィールは三案を提示。
- 金銭(巨額)
- 5級相当の装備一式が組めるほどの額を示唆。
- → ビョルンは即否。「金はいらない」。
- 同伴者(2年間、竜人をチームに派遣)
- 竜言(ドラゴン・スピーチ)や高基礎値を持つ竜人は、前衛・支援どちらにも有用。
- → ビョルンは即否。「うちは長期で固めたい」。契約満了で抜ける前提はチーム一体感に逆風。
- アクロ装備(翌年製作分の供与)
- 竜族の祭儀で年1点だけ打てるアクロ素材装備。本来は竜人専用寄りだが、運用次第で人間でも価値は高い。
- → ここも否。**「それなら金で装備整えるのと同義」**で優先度は劣後。
結論:どれも悪くないが、**“今のビョルンが本当に欲しいもの”**ではない。
4) ビョルンの要求:“竜の祝福(Dragon’s Blessing)”=竜紋タトゥー
沈黙を割る形でビョルンは要求を明言。
「報酬は“タトゥー”だ」
ラフィールは即座に察する――
「まさか“竜の祝福”を?」
“竜の祝福”:竜言と並ぶ竜人のOP性を支える要。身体能力・耐性・再生・魔力回路など多方面を底上げする秘儀タトゥー(外部者への付与は重いタブー)。
ラフィールの表情が一変、ドラゴン・フィアー再起動。
「欲が深い。分を弁えろ」
しかしビョルンは再び雄叫びで踏みとどまり、威圧を正面から解呪。
ラフィール「……バーバリアンは全員こうなのか?」
(フィアー収束)
交渉の“泥臭い”一撃
ラフィールが**“金+アクロ”の抱き合わせで再提案しても、ビョルンは「要らん!」**で押し返す。
さらに――
- 「星の女神が予言した。レガル・ヴァゴスと私は再会する。因果は強く結ばれている」
- 「私は強くならねばならない。もう仲間を奪わせないために」
- 「弟を止められなかったと言ったな。なら私に投資しろ。お前にできなかったことを私がやる」**
と、“情と論”を束ねた強圧カードを叩きつける。
→ モラル的にはギリギリだが、実利のために躊躇しないのがビョルンの交渉流儀。結果を取る。
5) 暫定合意:真偽確認と再召喚
長考の末、ラフィールは――
- 「神託(オラクル)の真偽を寺院筋で確認し、追って呼ぶ」
- 目安は1~2か月(※確約ではない)。
- その間、《ドラゴンスレイヤー》はヤンデル預かりで合意。
連絡手段として**“メッセージ・ストーン”+使い捨て魔紙を渡し、竜言による転移でヤンデルを宿へ帰還させる。
→ 第一幕の目的だった“土俵の対等化”と“要求の明示”に成功。竜の祝福の可否は次の呼び出し**まで棚上げ。
6) もう一つの火種:都市行政サイドの因縁を断つ
帰還直後、ノックは三連。扉の前にいたのは――
ジュリアン・アーバンズ(地区総監の娘/父の失墜を望む反骨令嬢)。
- 「チームが解散、魔導師も死亡。ロトミラーが父に絡め取られたの?」と詰め寄る。
- ビョルンは事実誤認を正す:
- 魔導師はリオル・ウォブ・ドゥワーキー。
- 父親(総監)は確かに動いたが、ロトミラーは乗らなかった。
- ただし、放置は二次被害の芽。第三者介入は早めに断つが吉――とビョルンは判断。
→ 「今どこにいる?」⇒ 第7区本部と聞き出す。
令嬢をきっぱり追い返し(「君の家の内輪揉めに関わる気はない」)、武装して出立。
令嬢「対峙に行くのになぜ武器を?」
ビョルン「対峙に武器はいるだろ」
交渉と制裁を同時に用意するのが彼流。“問題は早いうちに叩き折る”。
7) 今回の肝:ビョルンの交渉術を分解
① 威圧の無効化=対等の場を確保
- Dragon Fearを**雄叫び(精神の呼吸法+闘気の発露)**で遮断。
- 幻術の“観客席”も暴き、茶番を笑い流す空気へ。
- 同格の戦士として会話を始める足場を獲得。
② 相手の“痛点”に同情と実利で楔
- 「弟を止められなかった罪悪感」というラフィールの痛点に、
- (同情)「二度と仲間を失いたくない」
- (実利)「私に投資すれば、その穴を埋めてみせる」
を束ねて**“祝福”の大義**を作る。
③ 代替案を受け流し、“唯一解”を固定
- 金/人員派遣/アクロの優良オファーを全て撥ねることで、交渉空間を**“祝福”の一点に収束**。
- 「ほかで妥協の余地はない」と絞り込み、相手に**判断の先送り(=寺院確認)**へ逃げ道を与える。
→ 関係を切らずに次手へ。
8) 世界観の更新点・注目点
- 竜族の第二名慣習:都市生活圏での実用名。
- ドラゴン・フィアー:竜人の受動的威圧。雄叫びでの相殺が有効。
- 竜の祝福:外部者への付与は重い禁例級。だが神託+恩人+再発の抑止という三段の理屈が突破口。
- 連絡手段の高度化:メッセージ・ストーン+使い捨て魔紙。秘匿性が高く、再召喚の導火線に。
- 都市側の火種:地区総監アーバンズ。前回以降も探索者分断工作を続けている可能性。早期摘み取りへ。
9) 次話への期待ポイント
- 寺院ルートの検証
- クロヴィッツ経由で神託真偽を竜側が照会。
- “竜の祝福”可否の判断は教会の腹とも連動。
- 第7区本部での“対峙”
- ビョルンは武装で直行。行政側の妨害線を物理と法で折る展開か。
- チーム運用の微調整
- **レイヴン議題“残31項目”**の後半戦。
- 竜の祝福が通った場合の役割最適化(巨体化&装備統合の更なるブースト)も要設計。
総括
「竜の祝福」という最上位報酬を正攻法×泥臭さで引き寄せ、次の呼び出し=成否判定まで持ち込んだ回。
同時に、都市側の権力妨害の芽を即日で踏みに行く俊敏さも健在。
ビョルンのやり口はシンプル――“先に土俵を決める”、“欲しいもの以外はいらない”、“相手の後悔を味方にする”。
この三点が嚙み合った時、物語は力学ごと動く。次話、第7区本部の扉の向こうに注目。