- ドレイク襲来と“裏切りイベント”決着編──ハンスJという「人間のバグ」
- 1. ドレイク襲来──疲弊したパーティへの追い打ち
- 2. レイヴンの成長が光る「マジックバリア」
- 3. ベルバーソン vs 主人公──スキル切れのタイマン戦
- 4. オーガエッセンス[鉄皮] vs ベルバーソンの毒剣
- 5. カーミラの甘言と、「ハンスJ事件」の真相暴露
- 6. “Doppelganger Forest”との対比──今回は「事前に対策済み」
- 7. エルウェンの一刺し──裏切り者処刑と、戻れない一線
- 8. ハンスJという存在──「強いのに信用できない」の終着点
- 9. エルシナとパーツランの反応──倫理と現実の境界線
- 10. 裏切りイベントは乗り越えたが、戦いはまだ終わらない
- 11. 第275話のテーマ・見どころまとめ
ドレイク襲来と“裏切りイベント”決着編──ハンスJという「人間のバグ」
第275話「Whirlpool(1)」は、
274話ラストで空から乱入してきたドレイク&ノーアーク組との本格的な交戦が描かれる回です。
同時に、これまで伏線として積み上げられてきた
- 「裏切り者は誰か?」
- 「ハンス・アウロックは本当に信用していいのか?」
というサスペンスが、一気に“現実の流血”として決着してしまう、非常に重いエピソードでもあります。
ざっくり流れをまとめると、
- ドレイク襲来 → 緊急防御&隊列再構築
- ベルバーソン vs 主人公のタイマン戦
- カーミラによる“甘言”+ハンスの過去暴露
- 主人公が仕込んでいた「裏切り対策」が発動し、ハンス即処刑
- 裏切りパターンは潰したものの、戦闘はまだ続行中──で次回へ続く
という構成です。
ここから、順を追って詳しく見ていきます。
1. ドレイク襲来──疲弊したパーティへの追い打ち
274話のグアノ・シーサーペント戦を終え、
4等級エッセンスを回収した直後、空から黒い影が炎をまき散らしながら落下してきます。
それが、ノーアーク側の召喚士カーミラが操るドレイク。
● 状況は最悪レベルの厳しさ
- エルウェン:前戦闘のダメージで戦闘不能(ほぼ動けない)
- エルシナ:神力(回復リソース)がほぼ空
- レイヴン:MP残量少なめ
- 主人公自身も:スキル連発とボス戦でMPがかなり減っている
つまり、**「フルコンディションなら勝てる相手でも、今の状態では危険な相手」**がここに来て乱入してきた状況です。
そんな中でも、主人公は即座に判断を下します。
「配置につけ(Battle stations!!)!」
この一声で、すでに何度も修羅場を潜り抜けてきた仲間たちが
反射的に防御態勢へ移行するのが、これまでの積み重ねを感じさせる良い描写です。
2. レイヴンの成長が光る「マジックバリア」
炎を吐きながら接近してくるドレイクに対して、
真っ先に反応したのがレイヴン。
「アレルベス・ウィアル!」
7等級の代表的な防御魔法**[マジックバリア]を即座に展開し、
さらに氷属性強化**まで一瞬で付与してくるあたり、
探索者としての成長っぷりがはっきり描かれます。
- ドレイクの炎ブレス → バリアの氷属性で軽減
- 炎が傘に当たる雨粒のように散る → 一瞬の時間稼ぎに成功
この短い描写だけで、
- レイヴンの詠唱スピード
- 属性理解
- 臨機応変な強化の入れ方
が、以前とは段違いになっていることが伝わります。
もっとも、その防御もドレイクの本気タックルには耐えられません。
- ブレス → バリアで防ぐ
- その直後、ドレイク本体が全身で突撃
- 7等級防御魔法が砕け散るほどの物理衝撃
ブレスと体当たりの連携は、
“調教師(テイマー)系の基本戦術”とも言えるコンボであり、
相手側の成熟した戦闘経験が垣間見える部分です。
ここでアヴマンもすかさず**爆裂矢(Dangerous Substance)**を叩き込みますが、
ドレイクは翼で身体を覆ってダメージを減衰。
即殺には至りません。
3. ベルバーソン vs 主人公──スキル切れのタイマン戦
ドレイク背から飛び降りてきた男こそ、
ノーアークの剣士ベルバーソン。
- 白いオーラを纏った剣
- 騎士のオーラとは違うが、危険な一撃であることはタンク経験値で理解できる
主人公は瞬時に、
「これを正面から食らうのはマズい」
と判断し、盾で受けて衝撃を殺します。
- 直撃していれば、大ダメージは確実
- 実際、盾には傷が入るほどの威力
ここからタイマンモードに移行していきます。
● しかしここで決定的な問題:MP切れによる[巨大化]解除
主力スキル[巨大化(Gigantification)]を使い、
巨体を活かした圧殺戦法に持ち込もうとするも──
「魂力不足により[巨大化]解除」
前のボス戦&連戦の影響で、
肝心のリソース(MP/ソウルパワー)が枯渇。
つまり、“パワーで押し切るいつもの戦法”が使えない状況です。
一方のベルバーソンは、
- ノーアーク仕込みの対人戦スキル
- シールドの死角を狙うコントロール
- 毒を塗った剣で“当てるだけで価値がある”攻撃
と、PvPプレイヤーらしい戦い方をしてきます。
4. オーガエッセンス[鉄皮] vs ベルバーソンの毒剣
[巨大化]が切れて苦しいかと思いきや、
ここで主人公のビルドが本領発揮します。
オーガのパッシブスキル [アイアン・ハイド(Iron Hide)]
= 斬撃系物理ダメージに対する耐性2倍
ベルバーソンの斬撃は、
主人公の腕を貫通しつつも深く入らずに止まる。
- 「刺さったけど、致命にはならない」
- → その瞬間、主人公は反撃で側頭部狙いのメイス一撃
結果、ベルバーソンは咄嗟に腕でガードし、
左腕を潰される形で生存を選ぶ。
- 「腕を失っても命は残る」
- → 判断自体は冷静で、相手の戦闘経験値の高さも伺える
しかしその後は、
- 周囲から湧き続ける雑魚モンスター
- ベルバーソンが[鉄皮]を見抜き、刺突中心の攻撃に切り替え
- 剣に塗られた毒のおかげで、被弾=回復が追いつかない
と、じわじわ不利な展開に。
主人公はここで一旦「短期決戦」を諦めます。
「まずはMPを貯めろ。
防御と情報収集に専念し、相手のエッセンス構成を見極めてから仕留める」
という“プレイヤーらしい発想”に切り替えるのが、
いかにもこの作品の主人公らしいところです。
5. カーミラの甘言と、「ハンスJ事件」の真相暴露
戦いが膠着し始めた頃、
離れた位置から女の声が響きます。
「ハンス・アウロック!!
邪魔してないで、こっちを手伝いなさい!」
ドレイクの主であるカーミラの声です。
続けて──
「ノーアークの者でしょ? 私があんたのことを伝えたのよ」
要するに、
- ハンス、お前がノーアークの内通者なのは、こっちは把握済みだ
- おとなしく“こっち側”につけ
という露骨すぎる“味方勧誘”です。
もちろん、主人公サイドの仲間は即座に否定。
「そんなもの信じるわけない!」
「卑怯な口車に乗るか!」
しかしカーミラは畳みかけます。
「じゃあ教えてあげる。
ハンス・アウロックは12年前、モントリナ伯爵家の娘を殺して、その罪を揉み消したのよ!」
この発言によって、
- ハンスの“貴族殺し”の過去
- それを隠すために行われた工作
- そしてその弱みを握られ、ノーアーク側に取り込まれていた
という構図が一気に浮かび上がります。
6. “Doppelganger Forest”との対比──今回は「事前に対策済み」
ここで主人公は、
過去に経験した**「ドッペルゲンガーの森」での裏切りイベント**を思い出します。
当時は、
- 中ボス戦のどさくさ
- 味方からの突然の裏切り
- 予想以上の被害
という、かなり苦い経験として刻まれていました。
しかし今回は違います。
主人公は、ドレイク襲来直後、
すでに**「ボイスチャット(Voice Control魔法)」の使用条件付きでの作戦会議**を済ませています。
「レイヴン、ボイスコントロールを発動しろ。
俺たちだけが会話を共有できるように」
そしてその中で、
「もしハンスが裏切る素振りを見せたら、即座に刺せ」
という指示を事前に出していたのです。
対象は複数:
- エルウェン
- レイヴン
- アヴマン
しかし、実際に即座に“殺しの一手”を実行できたのは──
エルウェン
でした。
7. エルウェンの一刺し──裏切り者処刑と、戻れない一線
カーミラの暴露に対し、
ハンスはおそらく何か言い訳をするつもりだったのか、
あるいはノーアーク側へ向けて魔法を放つつもりだったのか。
「イヘルノ・カル・ベルデイ──」
と詠唱を始めた瞬間、
背後から短剣が胸を貫通します。
刺したのは、
戦闘不能状態で後方にいたはずのエルウェン。
- 前衛ほど派手な動きはできない
- しかし、事前に「裏切り兆候があれば刺せ」と命じられていた
- さらに、もともと“敵を殺すこと”への心理的ハードルが低い傾向
これらが合わさり、
彼女は迷わず“裏切り候補”を排除する行動に出たわけです。
周囲は当然騒然となります。
- エルシナ:
「どうして!? まだ裏切りと決まったわけじゃないのに!」 - エルウェン:
「でも、詠唱してましたよね」
このやりとりが象徴するのは、
- 「事実としての裏切り」よりも
- 「裏切る可能性があるかどうか」を重視する、極限環境の倫理観
です。
主人公は、そこであっさりと言い切ります。
「よくやった、エルウェン」
仲間を守るために“危険な駒”を潰した彼女を、
100%肯定する立場を取ったわけです。
8. ハンスJという存在──「強いのに信用できない」の終着点
ハンスJはこれまで、
- 魔術師としては超優秀(4等級、チェインライトニング持ち、詠唱高速)
- しかし、
- 空気が読めない
- 無神経な正論を吐く
- 過去にとんでもない事件を起こしている
- ノーアークと裏で繋がっている疑惑
という、“強いけれど危険なピース”として描かれてきました。
275話でついに、
- ノーアーク側からの暴露
- 詠唱開始という“裏切りの実動”
- エルウェンによる即時処刑
この3点によって、
彼の物語上の役割は完全に終わります。
主人公の一言、
「ハンスはやっぱり“そういう存在”なんだよな」
という諦めにも似た認識は、
読者にとってもある種の納得をもたらすラストでした。
9. エルシナとパーツランの反応──倫理と現実の境界線
ハンス処刑後の反応も、キャラ性がくっきり分かれる見どころです。
● エルシナ(神官)
- 「まだ裏切りと決まっていなかった」
- 「彼の魔法がこちらを狙っていたとは限らない」
と、人道的・倫理的な観点から強いショックと拒否反応を見せます。
● パーツラン(探索者、リーダー格)
- 一瞬驚くものの、すぐに冷静さを取り戻す
- 「今は戦場だ」
- 「裏切りの可能性があった以上、処断もやむなし」
という立場を取り、
エルシナに対し「後で話そう」と戦闘継続を促します。
ここで、
**“神官=道徳と信仰の人”**と
“探索者=現場の合理を知る人”
という構造的対立も浮き彫りになっています。
10. 裏切りイベントは乗り越えたが、戦いはまだ終わらない
ハンスJ処刑により、
- ノーアークによる「内側からの崩壊」作戦は不発
- 主人公の「先読みと事前準備」によって“裏切りパターン”は無事突破
……のはずでしたが、
ラスト一文で不穏な気配が漂います。
「『ヤンデル! アヴマンが──!』」
誰かが叫ぶところで、第275話は終了。
- 新たな被害者が出たのか
- ノーアーク側の反撃か
- あるいはモンスターが割り込んできたのか
詳細は次話以降へ持ち越しとなります。
11. 第275話のテーマ・見どころまとめ
● 戦闘・戦術面
- ドレイク+ノーアークコンビ vs 疲弊した主人公一行
- MP切れで頼みの[巨大化]が封じられた状態でのタイマン
- [鉄皮]によるビルド差の活かし方
- 声魔法による“味方だけのライン”の活用と、事前仕込みの強さ
● 人間ドラマ・心理面
- ハンスJの「過去」と「裏切り」が、敵の口から一気に暴露される構図
- エルウェンの“迷いのない殺し”と、それを称賛する主人公
- エルシナの道徳的拒絶と、パーツランの合理的容認
「極限状況では、“正しさ”より“生き残るかどうか”が優先される」
という、本作らしいシビアな価値観が、
非常に分かりやすい形で表現された回でした。