転生したらバーバリアンだった 第605話 あらすじ&考察
- ビョルン、ついに遠征隊そのものを奪う
- 遠征隊長の席に座ったビョルン
- 軍規では完全にジレンが正しい
- 「本当に俺へ命令できるのか?」
- 兵士たちが本当に恐れているもの
- 「俺なら全員を帰す」
- まさかの全軍投票
- 最初の命令はジレンを副隊長に残すこと
- 大司教とセイントレッドの死をどう処理するか
- 出口らしきポータルと再び訪れた雨季
- 実はジレンもビョルンに投票していた
- 「軍団長」になったことで変わる攻略
- アメリアは軍団長にも遠慮しない
- 謎の「苦痛の冠」をレイヴンへ
- 第605話の核心――なぜビョルンは軍団長になれたのか
- ビョルンの「バカを演じる」交渉術
- ジレン・エヴォストは敗者ではない
- 第605話で押さえておきたい世界設定
- 第605話まとめ――冒険者ビョルンから「指揮官ビョルン」へ
ビョルン、ついに遠征隊そのものを奪う
第605話は、派手な戦闘よりも「誰が数百人の命を預かるのか」を巡る駆け引きが中心となる回だ。
亀裂内部では、大司教の変貌やジェローム・セイントレッドの死という異常事態が起きた。そこから帰還したビョルンは、休む間もなく次の問題へ頭を切り替える。
遠征隊長が死んだ。
ならば、これから誰が遠征隊を率いるのか。
本来なら答えは決まっていた。副隊長のジレン・エヴォストが、そのまま指揮権を引き継げばいい。
しかしビョルンは、会議用の幕舎へ入ると自分に用意された席ではなく、空席になった遠征隊長の椅子へ座る。
その瞬間、場の空気が凍りついた。
これは単なる悪ふざけではない。
ビョルンは最初から、
「この遠征隊は俺が率いる」
という意思を行動で示していた。
遠征隊長の席に座ったビョルン
会議に集まった幹部たちが何も言えなくなる中、視線は自然とジレン・エヴォストへ向かう。
ジレンは正規の副隊長だ。
しかも無能な人物ではない。
むしろ、セイントレッドという扱いの難しい遠征隊長の下で、数百人規模の集団をここまで維持してきた実務能力は非常に高い。
兵士の管理。
部隊間の調整。
命令の伝達。
補給や行動計画。
こうした仕事を現場で回していたのはジレンだったと考えていい。
ビョルン自身も彼を高く評価している。
だからこそ、普通ならジレンが次の遠征隊長になっていた。
ビョルンが割り込まなければ。
あえて相手に考える時間を与えない
ジレンはすぐに怒鳴らない。
まず状況を整理し、ビョルンをどう説得するべきか考えていた。
そこへビョルンが先に切り込む。
「まだ、この意味が分からないのか?」
これは単なる挑発ではない。
相手に準備させず、会話の主導権を握るための一言でもある。
時間を与えれば、ジレンは軍規を整理し、周囲が納得しやすい形で話を組み立てる。
それではビョルンが不利になる。
そこで先に、
「俺がここに座る意味くらい分かるだろう」
と話を始め、ジレンを説明する側へ回した。
軍規では完全にジレンが正しい
ジレンの主張は明快だった。
ビョルンには遠征隊長になる資格がない。
現在のビョルンは男爵ではあるものの、軍内部での立場は臨時第4部隊の指揮官にすぎない。
王家の軍規に従えば、最高指揮官が死亡した場合、その次席にいる副隊長が職務を継承する。
つまり、制度上はジレンが正しい。
ビョルンも、それを理解している。
それでも彼は別の理屈を持ち出す。
「伯爵の次に偉いのは男爵の俺だ。」
セイントレッドは伯爵だった。
そして、遠征隊内で次に高い爵位を持っているのがビョルンだ。
なら自分が上に立てばいい。
もちろん、これは軍規の説明にはなっていない。
貴族としての爵位と、軍隊内部の階級は別物だからだ。
ジレンもそこを説明する。
しかしビョルンの反応は短い。
「それで?」
この返事こそ、今回の交渉の核心に近い。
ビョルンはジレンの説明を理解できていないのではない。
理解したうえで、その土俵では戦わないと決めている。
軍規を論じればジレンが勝つ。
ならば軍規の勝負を続ける必要がない。
「本当に俺へ命令できるのか?」
ビョルンはさらに一歩踏み込む。
「俺は爵位のない奴から命令を受けるつもりはない。」
理屈としてはかなり乱暴だ。
しかし重要なのは、その次だった。
「本当に、俺に命令できるのか?」
ここで議論が「誰が制度上正しいか」から、「実際に誰がこの遠征隊を支配できるか」へ変わる。
軍規上なら、ジレンはビョルンへ命令できる。
ではビョルンが拒否したらどうするのか。
命令違反として拘束するのか。
遠征隊でも最大級の戦力であり、臨時第4部隊から強い支持を受けるビョルンを処罰できるのか。
必要な場面で強引にでも彼を従わせられるのか。
ジレンは答えなかった。
これは彼が弱いという意味ではない。
むしろ、自分にできないことを「できる」と言わない誠実さがある。
その沈黙を見たビョルンは、ジレンの適性をさらに確信した。
副官としては極めて優秀だが、最高指揮官として全責任を背負い、最後に無理を押し通す役割には向いていない。
ビョルンは会話をしながら、相手の性格まで評価していた。
兵士たちが本当に恐れているもの
ここでビョルンは、幹部たちの反応にも注目する。
意外なほど大きな不安は出ていない。
遠征隊長が死亡し、副隊長と男爵が指揮権を争っている。
普通なら混乱してもおかしくない。
しかし皆は、むしろ結末を見守っている。
そこでビョルンは、争点が軍規そのものではないと見抜く。
今の兵士たちが本当に恐れているのは、
「誰が正しいか」ではなく、「自分たちはここから帰れるのか」
という問題だ。
地下1階へ来てから、遠征隊は想定外の出来事を何度も経験している。
未知の環境。
一級魔物。
守護者の石像。
謎の亀裂。
そして大司教とセイントレッドの死。
長期間閉じ込められた兵士たちにとって、最も価値のある能力は完璧な軍規知識ではない。
未知の状況から道を作る能力だった。
「俺なら全員を帰す」
ビョルンは場の空気を見たうえで、話を切り替える。
「俺たちは今、分かれ道に立っている。」
どちらが隊長になるかという話ではない。
王家から与えられた任務を果たし、無事に帰還するのか。
それとも地下1階に閉じ込められ続けるのか。
その二択だと提示する。
そして決定的な一言を放つ。
「俺を信じてついてくるなら――必ず全員を帰してやる。」
根拠のない大言壮語なら意味はない。
だがビョルンには、それまで積み上げてきた実績がある。
水晶洞窟。
ゴブリンの森。
イスロック遠征。
地下1階での一級魔物との戦闘。
守護者の突破。
未知の亀裂への突入。
危険な場面になるほど、自分が前へ出て道を開いてきた。
戦闘でも同じだった。
ビョルンの強さは、単純な防御力や攻撃力だけではない。
敵の能力を見て立ち位置を変え、仲間の役割を組み合わせ、自分が受けるべき攻撃と避けるべき攻撃を判断する。
今回の第605話そのものには新たな大規模戦闘はないが、これまでの戦闘で積み上げた判断力そのものが、指揮権争いの武器になっている。
兵士たちが買ったのは腕力ではない。
「この男についていけば、生き残れるかもしれない」という期待だった。
まさかの全軍投票
ジレンはビョルンへ問いかける。
では、どうすれば皆が納得するのか。
ビョルンの答えは予想外だった。
「全兵士を集めて投票しろ。」
軍隊で最高指揮官を投票によって決める。
通常の軍事組織として考えれば、かなり異例だ。
しかし今回に限れば理にかなっている。
軍規ならジレン。
爵位ならビョルン。
どちらの基準だけを採用しても、一方に不満が残る。
ならば実際に命を預ける兵士たちに選ばせる。
こうすることで、ビョルンは新しい正統性を作れる。
勝手に隊長席を奪ったのではない。
遠征隊全体から選ばれた最高指揮官になれる。
そして投票結果は僅差。
それでも最後に勝ったのはビョルンだった。
最初の命令はジレンを副隊長に残すこと
勝利したビョルンは、最初の命令を出す。
「ジレン・エヴォスト。お前は副隊長だ。仕事も今まで通りだ。」
これは重要な判断だ。
ビョルンは権力争いに勝ったからといって、ジレンを排除しなかった。
なぜなら、彼の能力を高く評価しているからだ。
ビョルンが進む方向を決める。
ジレンが、その命令を数百人へ落とし込む。
この組み合わせは非常に相性がいい。
ビョルンは決断と突破の人間。ジレンは調整と実行の人間。
最高指揮官と副隊長という形に配置すると、お互いの強みを生かせる。
感情ではなく能力で人を配置する。
ここにも、ゲーム攻略者だったビョルンの構築思想が表れている。
大司教とセイントレッドの死をどう処理するか
指揮系統が決まると、会議は亀裂内部で起きた出来事の報告へ移る。
特に大きな問題となるのが大司教の変貌だ。
高位聖職者だった大司教は、最終的にカルイの司祭へ変貌した。
さらに、その一連の事件の中で遠征隊長セイントレッドも死亡している。
宗教関係者たちが不安になるのは当然だった。
三神教の大司教が異常な存在へ変貌し、その結果として伯爵まで死亡した。
帰還後に宗教問題や責任問題へ発展してもおかしくない。
しかしビョルンは、そこで争いを広げるつもりがない。
「三神教に責任を問うつもりはない。」
今ここで必要なのは、内部対立ではない。
全員を生還させることだ。
大司教個人の異常を理由に教会全体と争えば、遠征隊内部の宗教関係者まで動揺する。
そのためビョルンは、少なくとも現時点では危険な遠征中に発生した事故として処理する方向を選ぶ。
真実を隠して得をしようとしているというより、優先順位をつけていると見る方が自然だ。
出口らしきポータルと再び訪れた雨季
亀裂攻略後には、閉ざされていた石門の先も開いていた。
そこには小型の石像と、ポータルらしきものが存在する。
魔術師たちの調査では、外部へつながる可能性が高い。
長く地下1階に閉じ込められてきた遠征隊にとって、待ち望んだ出口候補だ。
普通なら今すぐ入りたくなる。
しかしジレンから、外部が雨季に入っている可能性を指摘される。
ビョルンは急がない。
ポータルの安全性が完全に確認できたわけではない。
さらに出口の先が悪天候なら、未知の転移先と厳しい外部環境という二つの危険を同時に背負うことになる。
そこで雨季が終わるまで現在地へ留まり、調査を続ける方針を決める。
ここはビョルンの攻略思想を理解するうえで重要だ。
彼は危険を恐れないが、必要のない危険まで踏むわけではない。
突入する必要があるなら自分が前へ出る。
待てるなら待つ。
調べられるなら調べる。
一度に複数の不確定要素を抱えない。
これこそ、長く生存してきたビョルンの基本的な攻略理論である。
実はジレンもビョルンに投票していた
会議が終わったあと、ジレンだけが残る。
ビョルンは、投票で負けたことへの不満でもあるのかと思う。
ところがジレンは予想外の事実を明かす。
「実は……私も男爵に投票しました。」
先ほどまでビョルンの就任へ最も強く反対していた人物が、本人へ投票していた。
ここで前半のやり取りの意味が変わる。
ジレンも自分が最高指揮官に向いていないことを理解していた。
数百人の命に対して最終責任を負い、未知の状況で決断を続ける役目より、副隊長として組織を動かす方が自分には合っている。
それでも、最初からビョルンへ席を譲るわけにはいかなかった。
ジレンがあえて反対した理由
帰還すれば王家へ報告する必要がある。
正式な副隊長が、
「男爵に言われたので隊長を譲りました」
では、責任放棄と見られる可能性がある。
そこでジレンは軍規を主張し、正式に反対する。
それでも意見が割れたため、遠征隊全体の投票を行う。
その結果としてビョルンが選ばれた。
この形なら、
「副隊長が勝手に権限を譲った」のではなく、「非常事態において遠征隊全体が指揮官を選択した」
という説明ができる。
もちろん、それだけで王家が完全に納得するとは限らない。
アメリアも後に、帰還後に問題となる可能性を警告している。
それでも政治的な防御材料としては大きい。
つまりジレンは負けただけではない。
自分が望む人物を隊長へ置きながら、自分と遠征隊を守るための手続きまで作ったことになる。
「軍団長」になったことで変わる攻略
正式な最高指揮官になったビョルンは、すぐにその便利さを実感する。
これまでは遠征隊全体を動かしたくても、セイントレッドを経由する必要があった。
情報を集める。
ビョルンが判断する。
隊長へ提案する。
正式な命令として各部隊へ下ろす。
この一手間がなくなる。
今後はビョルンの判断が、そのまま全軍の行動へつながる。
これは高難度攻略では非常に大きい。
状況が変化するたびに上層部へ確認する必要があれば、情報が命令へ変換されるまで時間がかかる。
最高指揮官と攻略判断を行う人物が同一になれば、
情報収集→分析→判断→命令→実行
までの距離が短くなる。
さらにビョルンは、従来の四部隊制にも非効率さを感じ始める。
第605話では具体的な再編方法までは示されていない。
したがって詳細を断定することはできないが、少なくとも数百人の遠征隊を攻略に最適化された組織へ作り直そうとしていることは分かる。
五人程度のパーティーで行ってきた役割構築を、今度は軍団規模へ広げようとしているわけだ。
アメリアは軍団長にも遠慮しない
隊長になったビョルンに対しても、アメリアの態度はほとんど変わらない。
ビョルンが副隊長の席を勧めても断り、さらに帰還後の王家との問題まで指摘する。
これはビョルンにとって重要な存在だ。
権力が強くなるほど、周囲から反対意見は出にくくなる。
男爵。
遠征隊長。
圧倒的な戦力。
ここまで揃えば、普通の兵士が正面から異論を言うのは難しい。
その中でアメリアは、以前と変わらず問題点を突いてくる。
ビョルン自身も、そういう人間が近くにいる必要性を理解している。
ジレンが命令を実行する。
アメリアが危険な盲点を指摘する。
レイヴンが魔術や未知の現象を解析する。
そしてビョルンが最終判断を下す。
軍団長ビョルンの強さは、自分一人で何でもできることではなく、適切な人間へ適切な仕事を投げられる点にある。
謎の「苦痛の冠」をレイヴンへ
会議後、ビョルンはレイヴンを呼び出す。
目的は、大司教の死後に現れた謎の冠を調べてもらうことだった。
ビョルン自身にも正体が分からない。
通常の魔物から得た戦利品とも違う。
既知のナンバーズアイテムとも一致しない。
ならば自分で無理に試すのではなく、専門家へ回す。
これも攻略としては合理的だ。
未知の装備をいきなり身につけ、危険な効果が発動してから考える必要はない。
分からないものは調べる。
専門知識が必要なら専門家を使う。
しかもビョルンは、他の者には知らせずレイヴンだけに調査させようとする。
「これはお前だけに任せる。」
特別に信頼しているという雰囲気を出し、レイヴンの研究意欲を刺激する。
しかしレイヴンはすぐに別の問題へ気づく。
「これ……横領じゃないですか!!」
遠征中に得た戦利品を、隊長と一人の魔術師だけで秘密にして調べる。
確かに見方によってはかなり怪しい。
ビョルンは、
「隊長である自分の判断だから問題ない」
という豪快な理屈で押し切ろうとする。
レイヴンも呆れるが、最後には未知の冠への研究欲に負ける。
正体不明。
地下1階。
未知の亀裂の先で得た品。
研究者にとって、この誘惑は強すぎた。
ただし第605話終了時点では、冠の具体的な能力や分類はまだ不明である。
ここから先を断定することはできない。
第605話の核心――なぜビョルンは軍団長になれたのか
今回ビョルンが勝てた理由は、単一ではない。
第一に男爵という爵位。
第二に圧倒的な実戦経験。
第三に、未知の状況から何度も生還してきた実績。
そして第四に、
「この男についていけば帰れる」
と兵士たちへ思わせる信用だ。
爵位だけなら軍規に負ける。
戦闘力だけなら、優秀な兵士で終わる。
実績だけなら、英雄として尊敬されるだけかもしれない。
それらを組み合わせ、最後に投票という手続きを使ったことで、ビョルンは指揮官としての正統性まで作った。
ビョルンの「バカを演じる」交渉術
ジレンとの議論で特に面白いのは、ビョルンが自分の評判を武器にしている点だ。
「それで?」
軍規を長々と説明されても、これで終わらせる。
一見すると理屈を理解できないバーバリアンだ。
だが実際には逆である。
正論の勝負では負けると理解したから、正論だけでは解決できない問題へ話を移している。
ジレンはルールを重視する人物だ。
だからこそ、ルールの外側にある現実的な問題を突かれると弱い。
「制度上命令できる」ではなく、
「実際に俺を従わせられるのか」
と聞かれれば、簡単には答えられない。
ただの無法者なら、この時点で組織を壊す。
しかしビョルンはその後に全軍投票という代案を出す。
つまり、
既存の正統性を壊し、新しい正統性を作るところまでが一つの交渉だった。
ジレン・エヴォストは敗者ではない
今回のジレンを「ビョルンに負けた人物」とだけ見ると、その有能さを見落としてしまう。
彼は自分が最高指揮官向きではないと理解している。
それでも軍規上の立場を守る。
必要な反対を行う。
最終的には投票へ持ち込む。
そして本人はビョルンへ投票する。
その結果、自分は副隊長という最も得意な位置へ戻り、最高指揮官には突破力のあるビョルンが座る。
遠征隊にとっても合理的な形になった。
推測を含めれば、ジレンはかなり早い段階から「ビョルンが隊長になること自体」より、「どういう形で隊長になるか」を重視していた可能性が高い。
第605話で押さえておきたい世界設定
遠征隊長と副隊長
今回の指揮権争いから、ラフドニアでは爵位と軍内部の役職が別の権威として存在していることが分かる。
男爵だから自動的に軍団の最高指揮官になれるわけではない。
一方で、高位の爵位を持つ人物を完全に無視することも難しい。
そこへ非常事態が重なったことで、通常とは異なる指揮権移行が必要になった。
男爵という爵位
ビョルン本人は自分の爵位を比較的雑に扱うことがある。
しかし周囲にとって男爵は正式な貴族だ。
今回も、彼が単なる冒険者であれば「軍規違反」で即座に話を終えられた可能性がある。
男爵という社会的地位が、交渉を成立させる最低限の土台になったと考えられる。
地下1階と雨季
出口候補を見つけてもすぐに帰れないところに、この作品の遠征らしさがある。
魔物だけを倒せば終わりではない。
季節。
天候。
移動経路。
食料。
集団の状態。
数百人規模の遠征では、こうした環境条件も攻略要素になる。
苦痛の冠
大司教の死後に現れた謎の冠。
第605話時点では正体不明であり、レイヴンでも即座には判別できない。
通常とは異なる状況で得られたことから重要な品である可能性は高いが、具体的な能力についてはまだ断定できない。
第605話まとめ――冒険者ビョルンから「指揮官ビョルン」へ
第605話は、ビョルンが単純に強くなる回ではない。
強さを組織へ変える回だった。
「俺を信じてついてくるなら――必ず全員を帰してやる。」
この言葉を数百人へ向けて口にし、その結果として選ばれた。
だから今回得た指揮権には意味がある。
ビョルンは力ずくで遠征隊を奪ったのではない。
爵位を使う。
軍規の弱点を突く。
自分の実績を提示する。
兵士たちの最大の不安を見抜く。
投票で信任を得る。
勝利後はジレンを副隊長として残し、アメリアの警告を受け入れ、未知の冠はレイヴンへ任せる。
そこにあるのは、
「自分が何をするか」だけではなく、「誰に何をさせれば全体が最も強くなるか」
という構築思想だ。
これまでのビョルンは、自分と仲間が生き残るために最適な攻略手順を組み立ててきた。
しかし今、その対象が数百人規模へ広がった。
第605話は、冒険者ビョルン・ヤンデルが、「自分が生き残る攻略」から「全員を帰還させる攻略」へ踏み出した転換点だと言える。
