転生したらバーバリアンだった 第614話 あらすじ&考察|ホムンクルス(1)
第614話「ホムンクルス(1)」では、地下1階で見つかった謎の施設を通じて、これまで断片的に示されてきた異種族の起源へビョルンが大きく近づいていく。
前話で発見されたのは、異種族を無秩序に混ぜ合わせたような姿を持つドッペラーと、その体内に存在するバーバリアンの「戦士の心臓」を思わせる器官。そして地下施設の通路には、生きたドッペラーが大量の培養槽に収められていた。
さらに今回は、巨大な培養槽から謎の石を発見。ビョルン本人が知らないところで「賢者の石」を獲得し、身体に刻まれていた「悪性遺伝因子」が除去される。
しかし代償は大きかった。
本人にとって一瞬の気絶だった時間が、実際には十日以上。目覚めて外へ戻ると、待っているはずの仲間たちは姿を消していた。
世界の過去へ近づいた代わりに、現在の状況を見失う。
第614話は、異種族誕生の秘密を追う探索から、十日間の空白に何が起きたのかを追う緊迫した展開へ切り替わる重要な回となっている。
- 培養槽の中で生きていたドッペラー
- 地下の研究室と二本のレバー
- 「ここは何のために作られたのか」
- ドッペラーは異種族の「途中段階」なのか
- 巨大培養槽を壊すという判断
- 培養槽の破壊と赤い石
- 賢者の石と「悪性遺伝因子」
- ビョルン自身は変化を知らない
- 消えた十日以上の時間
- ドッペラーを処理しながら帰還する
- さらに地下へ続く開かない扉
- 待っているはずの仲間がいない
- 「嫌な予感」を無視しない理由
- 地上からも消えた仲間たち
- 黒い川を越えて神殿へ
- 攻略の構築理論|目的と手段を分ける
- ゲーム知識から「設計を読む力」へ
- 十日以上経過後の追加探索は判断ミスだったのか
- 世界設定考察|賢者の石は何のためにあったのか
- なぜビョルンだけ最初の扉を通れたのか
- 用語解説
- 第614話まとめ|十日間の空白が物語を動かす
培養槽の中で生きていたドッペラー
地下へ続く人工的な通路。
左右には緑色の液体で満たされた培養槽が並び、中にはドッペラーが収められている。
しかも死体ではない。
「……生きてる?」
ビョルンが動けば、培養槽の中の瞳もこちらを追う。
普通なら探索をためらってもおかしくない光景だが、現在のビョルンはすぐに順応する。
怪物、呪い、死体、異常現象が当たり前に存在する迷宮で長く生きてきたことで、異様さを感じても足を止めなくなっている。
これは感覚が麻痺したというより、異常を認識したうえで、それが即座に危険なのかを切り分けられるようになったと見る方が近い。
気味が悪い。
だが今すぐ襲ってくるわけではない。
なら調べる。
この切り替えの速さが探索者としてのビョルンの強さである。
地下の研究室と二本のレバー
通路の奥には、研究室を思わせる部屋が存在していた。
壁には大量の本。
中央にはさらに巨大な培養槽。
迷宮で文字の残された書物が見つかれば、過去の記録や失われた技術を知る重要な手掛かりになる可能性がある。
しかし、本を調べても中身は空だった。
そこでビョルンの興味は、部屋に残された二本のレバーへ向く。
何の説明もない。
だが、明らかに操作するための装置だ。
一本目を引くと、巨大培養槽が光り、それまで何もいなかった内部へ一体のドッペラーが現れた。
「……ドッペラー。」
現象だけ見れば生命を「生成」したように見える。
ただし、本当にその場で作られたのか、別の場所から転送されたのかは分からない。
続いて二本目を引くと、今度はドッペラーが消えた。
「……消去ボタンか?」
こちらも完全な消滅なのか、転送なのかは不明だ。
それでも一つ重要なことが分かる。
この施設では、ドッペラーが設備によって管理されている。
自然発生した怪物が偶然ここへ集められたというより、人為的な目的を持って配置された存在に見えてくる。
「ここは何のために作られたのか」
二本のレバーの効果を確認したことで、ビョルンの疑問は装置そのものから施設の目的へ移る。
「……じゃあ、ここは一体何なんだ?」
なぜこんな場所が地下深くに存在するのか。
なぜドッペラーが大量に培養されているのか。
そしてなぜ、自分だけがこの施設へ入ることができたのか。
ここでビョルンは『ダンジョン&ストーン』時代の経験を思い出す。
ゲームには、本筋の攻略とは直接関係しなくても、世界の背景を自然に伝える隠し施設や記録が存在する。
今回の場所も、そうした「世界設定を開示するための場所」なのではないか。
そう考えると、これまでの情報が一本につながり始める。
昔の時代には現在のような異種族がいなかったという話。
錬金術が、人間を作り出そうとする研究から始まったという情報。
異種族の特徴を混ぜ合わせたようなドッペラー。
その体内から見つかった、バーバリアンを思わせる特殊な心臓。
そして今回の培養施設。
「異種族は、作られた存在なのか?」
まだ断定はできない。
だが、単なる思いつきだった仮説に具体的な材料が増えたことは確かだ。
ドッペラーは異種族の「途中段階」なのか
ここからは推測になる。
一つの可能性として考えられるのが、ドッペラーは現在の異種族へ至る過程で生まれた不完全な存在だったのではないかというものだ。
ドッペラーの身体には、複数の種族を思わせる特徴が混在している。
尖った耳。
獣人を連想させる部位。
鱗。
そしてバーバリアンに似た心臓。
にもかかわらず、各種族が持つ本来の能力まで十分に再現されているようには見えない。
もし人工的な生命研究が行われていたなら、
人間を基礎に身体を改変する
→ 複数の特徴を付与する
→ 不安定な個体が生まれる
→ 特徴を固定する技術が完成する
→ 現在の異種族へつながる
という構築も考えられる。
ただし、ドッペラーが異種族の祖先、試作品、失敗作のどれに当たるのかはまだ不明だ。
第614話で重要なのは、「異種族人工創造説を考えるための実物」が初めて大量に現れたことだろう。
巨大培養槽を壊すという判断
部屋を調べ終えた後、残った未確認物は中央の巨大培養槽だけだった。
ゲームなら迷わず攻撃する。
何か起きれば結果を確認し、失敗ならやり直せばいい。
しかし今は現実。
壊した設備は戻らない。
重要な情報源そのものを失う可能性もある。
それでも、壊さなければ何が隠されているか永遠に分からない。
「やらなければ、何も分からない。」
ビョルンは硬貨を投げる。
表ならもう一度。
裏なら培養槽を壊す。
実際には表が出ても再投するため、最終的には裏が出る。
つまりコイントスは判断を運任せにしたのではなく、すでに壊す方向へ傾いていた自分へ最後の許可を与える行為だったと考えられる。
硬貨は裏。
ビョルンはハンマーを振り抜いた。
培養槽の破壊と赤い石
バーバリアンの力を乗せたハンマーがガラスへ直撃する。
培養槽は破壊不能な特殊設備ではなく、普通のガラスのように砕けた。
亀裂から緑色の液体が流れ出す。
だがビョルンは、そのまま近づかない。
未知の液体だからだ。
毒かもしれない。
触れれば状態異常を起こす可能性もある。
すぐに近くの机へ乗り、液体から距離を取る。
この動きは、ビョルンの探索スタイルをよく表している。
大胆に試すが、結果が出た瞬間には慎重へ切り替える。
培養液は床へ広がった後、見えない排水機構に吸い込まれるように消えていく。
安全を確認して近づくと、砕けたガラスの中に一つの石があった。
表面には亀裂のような模様があり、その奥から赤い光が漏れている。
明らかに普通の鉱石ではない。
「やっぱりな。」
怪しい中央装置を壊せば何かが出る。
長年ゲームを攻略してきた経験による読みが当たった。
ビョルンが石を拾う。
その瞬間。
「……え?」
意識が途切れた。
賢者の石と「悪性遺伝因子」
ビョルン本人が認識できないところで、重要な変化が起こる。
彼は「賢者の石」を獲得。
さらに、身体に刻まれていた悪性遺伝因子が除去された。
今回の章題は「ホムンクルス(1)」。
人工生命を思わせる培養設備。
生命を出現・消失させる装置。
錬金術を連想させる賢者の石。
そして遺伝に関わる身体への作用。
生命、錬金術、種族という要素が一つの施設へ集中している。
ただし、「悪性遺伝因子」が何なのかは不明だ。
バーバリアンという種族そのものに関係するのか。
ビョルン個人だけが持っていたものなのか。
人工的な種族創造に伴う欠陥なのか。
現時点では推測しかできない。
したがって、賢者の石によって単純に能力が強化された、バーバリアンの欠点が消えた、と断定することもできない。
分かるのは、ビョルンの肉体から何らかの遺伝的要素が取り除かれたというところまでだ。
ビョルン自身は変化を知らない
この出来事で重要なのは、ビョルン本人が結果を知らないことだ。
彼にとっては、
「謎の石を拾ったら突然気絶した」
だけである。
目覚めると石も消えている。
消費型のイベントアイテムだった可能性を考えるが、効果を確認する記録画面を見ることはできない。
ここで読み手とビョルンの間に情報差が生まれる。
読み手は身体から悪性遺伝因子が消えたことを知っている。
しかし本人は知らない。
ゲーム世界を熟知しているビョルンでも、自分自身へ行われたシステム処理までは認識できないのである。
消えた十日以上の時間
目覚めたビョルンが最初に感じたのは猛烈な空腹だった。
ほんの少し気絶しただけなら、ここまで腹が減るはずがない。
周囲を確認しても大きな変化はない。
なくなっているのは赤い石だけ。
そこで時計を見る。
時刻だけなら、最後に確認した時から七時間ほどしか進んでいないように見える。
しかし高性能な探索者用時計には、経過した日数も表示される。
「……そりゃ腹も減るわけだ。」
経過していたのは、十日以上だった。
本人には一瞬。
外では十日余り。
迷宮探索において、これは非常に大きい。
食料が減る。
部隊が移動する。
作戦が進む。
敵味方の状況が変わる。
何よりアメリアたちから見れば、ビョルンは突然一人で未知の施設へ入り、そのまま十日以上消えたことになる。
ただし、この時点のビョルンはまだ「戻ったら怒られるだろう」と考える程度だ。
仲間に異変が起きたことを示す情報はまだ何もない。
ドッペラーを処理しながら帰還する
干し肉で腹を満たし、研究室を出る。
通路では培養槽のドッペラーが再びビョルンを目で追ってくる。
「……こいつらも壊しておくか。」
ビョルンは通路を進みながら培養槽を次々と破壊する。
ガラスを割る。
液体が流れる。
中のドッペラーが這い出す。
そこへ近づき、起き上がる前に頭部を潰す。
戦闘というより一方的な処理に近い。
ドッペラーは異種族の特徴を持ちながら、戦闘能力そのものは高くない。
ここも興味深い。
もし彼らが人工生命なら、外見や身体構造は再現できても、各種族固有の能力までは完成していない個体だった可能性も考えられる。
もちろん、これは推測だ。
培養槽を壊しても追加の賢者の石などは出ず、新しい成果は得られなかった。
さらに地下へ続く開かない扉
帰路の途中、ビョルンはさらに下へ続く梯子を確認する。
すでに十日以上遅れているが、この時点では仲間に異常が起きたとは知らない。
「どうせ今戻っても怒られるなら、近くの未探索部分だけ確認する」という判断で下へ降りる。
そこには直線通路と円形の金属扉があった。
最初の施設入口とよく似ている。
しかし今回は開かない。
叩いても駄目。
触れても駄目。
声を出しても反応しない。
「……条件が違うのか?」
最初の扉はビョルンだけを通した。
だから単純に「バーバリアンなら開く」という仕組みかと思えた。
しかし二つ目は開かない。
つまり、扉ごとに異なる認証条件が存在する可能性がある。
種族。
所持品。
何らかのイベント進行。
特定の資格。
どれが正しいかは分からない。
ビョルンは無意味に時間を使わず、場所だけ確認して引き返す。
待っているはずの仲間がいない
アメリアたちが先へ進めなかった境界まで戻る。
そこで初めて異常が見つかる。
誰もいない。
「……何だ?」
十日以上経っている。
だから全員がその場で待ち続けていなくても不思議ではない。
本隊へ戻ることもある。
食料や状況の問題で移動することもある。
しかし、一人も残っていないのは不自然だ。
ビョルンがいつ戻るか分からないのなら、一人くらい連絡役を置く方が合理的だからだ。
ましてアメリアがいる。
情報共有の重要性を理解している彼女が、何の伝言手段も残さず全員で撤退するだろうか。
「何かあったと考えるべきだ。」
ここでビョルンの中の優先順位が一気に変わる。
未知の施設を調べる探索者から、仲間の異常を確認するリーダーへ。
「嫌な予感」を無視しない理由
ビョルンは胸騒ぎを迷信として片づけない。
自分ではまだ言語化できていなくても、目や耳から入った小さな違和感を無意識が先に処理している可能性があると考えているからだ。
人の痕跡。
音の少なさ。
本来あるべきものの欠落。
長く生死の境を歩いてきた探索者ほど、そうした差へ敏感になる。
つまりビョルンの「嫌な予感」は予知ではない。
積み重ねた経験による無意識の危険検知と考えれば理解しやすい。
理由を完全に説明できるまで待つのではなく、おかしいと感じた時点で確認へ動く。
この速さが危機対応では重要になる。
地上からも消えた仲間たち
ビョルンは急いで地上へ戻る。
だがジャングルにも人影はない。
声を張り上げる。
「エミリー! アイナル! レイヴン! ミーシャ!」
返事はない。
以前まで仲間がいた場所が、異様なほど静まり返っている。
ここまで来ると、全員が単純に少し離れただけとは考えにくい。
まず確認すべきは、遠征隊が拠点として使っていた神殿。
ビョルンはすぐに走り出す。
地下にはまだ開かない扉がある。
ドッペラーの正体も分からない。
賢者の石の効果も本人には不明。
だが今はすべて後回しだ。
情報は後で確認できる可能性があるが、仲間の安否確認は遅れるほど危険になる。
黒い川を越えて神殿へ
神殿へ向かって一日ほど走り、以前通った大きな川へ到着する。
ここが最大の障害だった。
水が身体に悪影響を与える可能性もある。
しかし今は調査している時間がない。
さらにビョルンは泳げない。
普通なら渡河そのものが難しい。
だが彼は発想を変える。
泳げないなら、泳ぐ必要はない。
対岸へ行ければいい。
ビョルンはできるだけ遠くへ跳び、水中へ沈む。
重いバーバリアンの身体が川底へ到達するまで待つ。
足が着いた瞬間、そこから歩き始める。
高い肺活量と脚力を頼りに、可能な限り速く進む。
視界は悪い。
方向もはっきりしない。
水の抵抗で思うように動けず、呼吸もできない。
高い防御力を持っていても、酸素がなくなれば終わる。
それでも前へ進み、どうにか対岸までたどり着く。
「はぁ……はぁ……!」
さすがのビョルンも、死ぬかと思うほどの強行突破だった。
それでも黒い水を払う時間すら惜しみ、そのまま神殿へ向かって走る。
攻略の構築理論|目的と手段を分ける
今回のビョルンの行動には、彼の攻略方法がよく表れている。
重要なのは「正しい方法」に固執しないことだ。
目的を達成できれば、手段は変えていい。
本から情報が得られないなら装置を調べる。
レバーがあれば試す。
巨大培養槽の内部を確認できないなら壊す。
扉が開かなければ条件不足と判断して撤退する。
泳げなければ川底を歩く。
つまりビョルンは、
目的を設定する
→ 手持ちの資源を確認する
→ 実行可能な方法を試す
→ 結果を観察する
→ 仮説を更新する
という流れで未知の状況を攻略している。
巨大培養槽を壊した直後に机へ退避したのも同じだ。
試す時は大胆。
結果が不明なら慎重。
この切り替えによって、未知へ踏み込みながら致命的な危険を減らしている。
ゲーム知識から「設計を読む力」へ
今回の施設について、ビョルンは答えを知っていたわけではない。
二本のレバーの効果も、賢者の石の存在も、第二の扉を開く条件も知らない。
これまでのように既知の攻略情報をなぞっているわけではない。
それでも彼には『ダンジョン&ストーン』を長年攻略した経験がある。
怪しい中央設備。
隠された地下空間。
何も書かれていない研究室。
そうした配置を見て、
「ここには何か隠されている」
と推測できる。
これは具体的な攻略情報ではなく、ゲームを作った側がどこへ仕掛けや情報を配置するかを読む能力である。
既知の世界を攻略していたビョルンが、未知の領域でも前へ進める理由の一つだ。
十日以上経過後の追加探索は判断ミスだったのか
ビョルンは十日以上経過したと知った後も、すぐには仲間のもとへ戻らず、培養槽を破壊し、下層の扉まで確認している。
結果だけ見れば、その間にも仲間の状況確認は遅れている。
しかし、この時点のビョルンには仲間へ異変が起きたという情報がない。
本人の認識では、
「長く消えたから怒られるだろう」
程度だった。
すでに十日以上遅れているなら、近くの未探索地点を短時間で確認しておこうと考えるのは完全に不合理とは言えない。
重要なのは、新しい情報を得た後だ。
仲間がいない。
連絡役もいない。
地上にも誰もいない。
そこで即座に探索を捨て、神殿へ向かう。
判断は、その時点で持っている情報に応じて更新する。
後から結果を知った状態だけで以前の判断を評価しない。
この柔軟さも、ビョルンの攻略能力を支えている。
世界設定考察|賢者の石は何のためにあったのか
今回の施設が人工生命研究と関係しているなら、賢者の石が巨大培養槽から見つかったことにも意味がある可能性が高い。
賢者の石は、ビョルンの身体から悪性遺伝因子を除去した。
つまり少なくとも、身体の遺伝的な要素へ作用できる。
人工生命を作る研究施設に、遺伝へ働きかける道具が置かれている。
この組み合わせから、
生命体の欠陥を取り除くためのものだったのではないか
という仮説も考えられる。
あるいは身体の性質を安定させるための装置や素材だった可能性もある。
ただし、賢者の石本来の用途はまだ明かされていない。
現時点で確実なのは、人工生命を思わせる施設と、身体の遺伝的要素へ作用する賢者の石が同じ場所に存在していたことだけだ。
なぜビョルンだけ最初の扉を通れたのか
もう一つ残る大きな謎が、最初の扉である。
アメリアたちは通れなかった。
ビョルンだけが先へ進むことを許された。
今回の内容から考えると、バーバリアンの身体や「戦士の心臓」が認証条件に関係している可能性も考えたくなる。
しかし二つ目の扉は、ビョルンにも開かなかった。
そのため単純な「バーバリアン認証」と断定することはできない。
扉ごとに条件が違う。
特定の資格や記録。
アイテム。
施設内での進行度。
何らかの身体的条件。
可能性はいくつもある。
ゲーム的な構造で考えるなら、二つ目の扉は今は開けられないが、後で条件を満たして戻るための場所という可能性もあるだろう。
用語解説
ドッペラー
異種族に似た特徴を複数持つ謎の怪物。
一般的な迷宮モンスターと異なり、倒しても死体が残る。前話ではバーバリアンの「戦士の心臓」を思わせる器官も確認された。
今回、大量の個体が地下施設の培養槽で生きたまま管理されていた。
人工生命との関連が強く疑われるが、異種族の祖先や失敗作と確定したわけではない。
ホムンクルス
第614話の章題に使われている言葉。
今回の地下施設には培養槽や生命管理装置が存在するため、人工的に作られた生命という概念を強く連想させる。
ただし、第614話時点で「ドッペラー=ホムンクルス」と明言されているわけではない。
賢者の石
巨大培養槽を破壊したことで発見された赤く光る謎の石。
ビョルンが拾った直後に消失し、同時に彼の身体から「悪性遺伝因子」が除去された。
具体的な効果をビョルン本人は認識していない。
悪性遺伝因子
ビョルンの身体に刻まれていたとされる謎の要素。
賢者の石によって除去された。
種族に関係するものなのか、ビョルン個人の問題なのか、人工的な生命研究とつながるものなのかはまだ不明である。
第614話まとめ|十日間の空白が物語を動かす
第614話「ホムンクルス(1)」では、異種族の起源に関する謎が大きく前進した。
ドッペラーを保管する培養槽。
個体を出現・消失させる装置。
人工生命研究を思わせる地下施設。
そこから見つかった賢者の石。
そしてビョルンの身体から除去された悪性遺伝因子。
これらはすべて、生命や種族そのものが人為的に操作されていた可能性を考えさせる材料になっている。
一方で、ビョルンが世界の秘密へ近づくために失ったものは十日以上の時間だった。
戻った場所にはアメリアたちがいない。
地上にも誰もいない。
呼びかけても返事はない。
「何かあったと考えるべきだ。」
この判断を境に、ビョルンの目的は完全に切り替わる。
異種族の謎。
賢者の石。
開かない第二の扉。
それらよりも今は仲間の安否が優先される。
世界の過去へ一歩近づいた瞬間、現在には十日余りの空白が生まれていた。
その間に何が起きたのか。
ビョルンは黒い川さえ強引に越え、答えを確かめるため神殿へ向かって走り続ける。
