『転生したらバーバリアンだった』第560話あらすじ&考察|黄金の本を得たビョルンと、王家遠征軍が突きつけられる不穏な未来
カシャン討伐後、遠征隊はすぐ次の探索へ
一級魔物カシャンとの死闘を終えた王家遠征軍は、勝利の余韻に浸る間もなく次の行動へ移っていた。
カシャンを倒したことで石門は開き、その先に現れたのはビョルン・ヤンデルにとって見覚えのある場所――ハムシクの家だった。
しかし、そこにハムシクの姿はない。
以前あった黄金の本も見当たらず、王家側から見れば、莫大な犠牲を払って到達したわりに「これが攻略報酬だ」と断言できる成果は見つかっていなかった。
だからこそ、魔術師たちは休むことなく回収品の調査を始める。
「明日にはこの図書館を出る」
ジェローム・セイントレッドが与えた時間は短い。
ハムシクの家から持ち出された品々について、使い道や価値を少しでも明らかにする必要があった。
レイヴンもその作業に加わっている。
未知の品を前にすると、疲労より研究者としての好奇心が勝つのだろう。ひとつひとつを確かめていく姿は、命懸けの戦闘を終えた直後とは思えないほど生き生きしている。
ビョルンには、そこまで研究そのものを楽しめる感覚は分からない。
だが、友人が楽しんでいるならそれでいい。
それに、レイヴンが調査してくれるのであれば、重要な発見があったときに後から情報を得ることもできる。
ヴェルシルの場合は少し違う。
彼女も魔術師ではあるが、ビョルンと同じくゲームだった『Dungeon & Stone』の知識を持つ側の人間だ。純粋な魔術研究に対する関心では、レイヴンとは方向性が異なる。
そう考えれば、今のビョルンが無理をして研究に付き合う理由はない。
カシャン戦では文字どおり死線を越えた。
次に何が待っているか分からない以上、休めるときに休むことも探索の一部である。
犠牲によって削られた王家遠征軍
その後、遠征隊の再編が行われた。
第1分隊は49人。
第2分隊も49人。
第3分隊は48人。
ビョルンたち第4分隊は37人で、大きな変更はない。
それでも、全体を見ると失われた人員の多さがはっきりする。
図書館攻略でも犠牲者が出た。
そしてカシャン戦では、さらに多くの兵が命を落とした。
特にビョルンが約3分間意識を失っていた間、戦況は一気に悪化している。
この事実は、カシャン戦におけるビョルンの役割の大きさを示していた。
彼が前線にいる間は、強力な攻撃を受け止めることで後方の魔術師や仲間たちが動ける。
だがビョルンが倒れると、その役目を誰かが代わりに担わなければならない。
前線が崩れれば、火力を担当する者も安全に攻撃できなくなる。
つまりカシャン戦で露呈したのは、単純に遠征軍が弱いということではない。
一級魔物を相手にするとき、ビョルンという異常に頑丈な前衛が遠征隊全体の戦闘構造を支えていたということだ。
一方で、通常の集団戦や対人戦まで含めれば王家遠征軍は依然として強力である。
騎士、魔術師、聖職者が揃い、それぞれが明確な指揮系統のもとで動く。
探索者の即席パーティーとは違い、大人数を組織的に運用することを前提とした戦力だ。
ただし、失った人数そのものが戻るわけではない。
このまま探索を続ければ、消耗は積み重なっていく。
次にどこへ向かうのかは、遠征全体の生死を左右する選択になりつつあった。
次の探索先を決める会議
やがて遠征隊では、次の目的地を決めるための会議が始まる。
今回はジェローム自身が前に立った。
図書館の攻略を終えた以上、いつまでもこの場所に留まるわけにはいかない。
魔術師たちは脱出方法につながる手掛かりを探しているものの、まだ明確な成果は出ていない。
ならば、待っている間にも探索を進める。
そこで自然と注目されたのがビョルンだった。
地下1階について最も多くの実地経験を持ち、遠征隊が使っている地図にも大きく貢献している。
この階層を知る案内役として意見を求められるのは当然だった。
しかし、ビョルン自身は即答できない。
頭には複数の候補がある。
探索によって聖水(Essence)を狙える魔物や強敵に関わる情報が得られる場所もあれば、地下2階につながる転送石碑が関係する可能性のある場所もある。
さらに、雨季の終わりに虹が現れた方向も気になっていた。
確実な情報はない。
それでも長年『Dungeon & Stone』を攻略してきたプレイヤーとしての感覚が、そこに重要な何かがあると告げている。
雨季という特殊な環境変化。
その終盤に現れる虹。
そして、その方向に存在する未知の島。
それらが地下1階の攻略構造と関係している可能性は十分に考えられる。
そして、もう一つが首長のいる島だった。
首長がこの階層について重要な情報を握っている可能性は高い。
もし捕らえて話を聞ければ、上へ戻るための手掛かりや転送石碑、あるいは地下1階そのものに関する秘密を得られるかもしれない。
戦力だけを考えれば、現在の遠征隊なら十分に攻められる。
相手がどれほどの力を隠しているかは分からないものの、王国の精鋭がこれだけ揃っている。
ビョルンも、正面から衝突した場合に勝負にならないとは考えていなかった。
にもかかわらず――。
首長の島には行きたくない。
理屈では説明しきれない胸騒ぎがあった。
「勝てる」と「今行くべき」は同じではない
ビョルンはこの感覚を無視しなかった。
迷宮では、明確な証拠が揃ってから危険に気づいたのでは遅い場合がある。
そこで提案したのが、まず別の未探索の島を確認する案だった。
「次の探索先は、ここがいいと思う」
最初から最大の危険がありそうな場所へ突っ込むのではない。
まだ確認できていない地点を一つ調べ、必要なら早めに切り上げる。
その後、虹が現れた方向の島へ進み、そこで得られた情報まで含めて改めて判断する。
情報を増やしてから、取り返しのつかない選択をする。
いかにもビョルンらしい考え方だ。
しかし最終的に、ジェロームは別の判断を下した。
「明朝、首長のいる島へ向かう」
ビョルンが避けたかった場所である。
自分に意見を求めておきながら結局採用しないのか、と多少引っかかる部分はある。
だが、ジェロームの判断にも理由はある。
前回、遠征隊はビョルンの情報を頼りに図書館へ向かった。
攻略には成功した。
カシャンまで討伐した。
しかし王国側から見れば、多数の犠牲に見合うほど明確な脱出経路や成果をまだ得られていない。
ハムシクや黄金の本について知っているビョルンとは、見えている情報が違うのだ。
王国側からすれば、次は首長という明確に情報を持っていそうな対象を確保する方が合理的に映る。
ビョルンもそこまで理解したからこそ、強く反対しなかった。
不安はある。
だが、不安以外に決定を覆せる材料がない。
雨季2日目でも動く理由
さらにビョルンが気になったのは、出発時期だった。
今はまだ雨季の2日目。
以前ビョルンたちが雨季に移動した経験はあるものの、そのときとは条件が違う。
なぜ今すぐ動く必要があるのか。
「……明日?」
確認するビョルンに対し、ジェロームは雨季そのものを経験することにも意味があると答える。
ここには、探索者と王家遠征軍の大きな違いがある。
探索者の第一目標は生還だ。
危険な時期を避けられるなら避ける。
安全な条件が整うまで待つことも立派な戦略になる。
一方、王家遠征軍には未知の地下1階を調査する任務もある。
雨季に何が起きるのか。
その環境下で移動できるのか。
どの程度の危険があり、王国の戦力でどこまで対応できるのか。
それ自体が収集すべき情報になり得る。
ビョルンにとって「避けられるなら避けたい危険」が、国家規模の遠征では「経験して記録すべき現象」になる。
カシャン戦で大量の犠牲を出した直後にもかかわらず、部隊を再編し、翌朝には再び探索へ向かう。
その判断には、王家遠征軍が単なる冒険者集団ではないことが表れていた。
眠れないビョルンが考えた王家の真意
その夜。
ビョルンはなかなか眠ることができなかった。
今日だけでも考えることが多すぎる。
初めて倒した一級魔物。
多数の犠牲者。
姿を消したハムシク。
なくなった黄金の本。
明日向かう首長の島。
そして、何より頭から離れないのがジェロームの言葉だった。
カシャン戦のあと、ジェロームは遠征隊にどれだけ犠牲が出ても、ビョルンを生きて連れ帰れれば任務は成功するという趣旨の話をしている。
この発言によって、ビョルンの中にあった疑念が少しだけ薄れていた。
王家は本当は自分を始末するつもりなのではないか。
アイスロックで経験したようなことが、また起きるのではないか。
そんな警戒を捨て切れずにいた。
だが、カシャン戦での行動を見ると話が合わない。
ビョルンが意識を失ったときは、もし殺すつもりなら絶好の機会だった。
一級魔物との戦闘中である。
そのまま死亡したとしても、不自然ではない。
にもかかわらず、ジェロームがしたのは正反対のことだった。
第4分隊をビョルンの保護へ回した。
本当に始末するつもりなら、自分を守るために戦力を割く意味がない。
少なくとも、これまでの行動だけを見ればジェロームは本気でビョルンを生きて帰そうとしている。
そこまで考えると、恐怖は少し薄れる。
しかし同時に、もっと分からない疑問が生まれた。
なぜ王家は、そこまでして自分を助けるのか。
王家にとってビョルンは、決して扱いやすい存在とは言えない。
ならば迷宮で死んだ方が都合がいいと考える者がいても不思議ではない。
それなのに大規模な遠征隊を送り込み、犠牲を許容してまで救出しようとしている。
敵意だけでは説明できない。
かといって、単純な善意だと考えるのも難しい。
ビョルンは相手を完全に信用したわけではない。
実際の行動を見て、警戒度を少し下げただけである。
本棚の隙間に隠れていたハムシク
眠れないビョルンは、気分転換も兼ねて図書館を歩くことにした。
だが本当の狙いは別にもあった。
ハムシクである。
王家遠征軍が家を調べたとき、その姿は発見されなかった。
本当にどこかへ行ってしまったのか。
それとも、まだ近くに潜んでいるのか。
歩いていると、聞き覚えのある音が耳に入る。
「……ハムシク?」
返事があった。
ビョルンはすぐ近づくのではなく、まず周囲を確認する。
王家側に存在を知られるのは避けたい。
ハムシクの家にあるものをほとんど回収した遠征隊である。
本人まで見つかった場合、何を聞き出そうとするか分からない。
安全を確認して2階へ向かうと、ハムシクは本棚の本が一冊抜けた隙間に身を隠していた。
ようやく再会できた。
ところがハムシクが最初に気にしたのは、黄金の本でも遠征隊でもない。
「大丈夫……?」
カシャン戦で負ったビョルンの怪我を心配していた。
ビョルンが回復していることを伝えると、ハムシクは安心し、そして重要な事実を明かす。
ついに「資格を持つ者」が現れたというのだ。
その資格を得たのは、カシャンを倒したとき。
そして対象は遠征隊全員ではない。
ビョルンだけだった。
なぜビョルンだけが選ばれたのか
ここで大きな謎が生まれる。
遠征隊全体でカシャンと戦ったにもかかわらず、資格を得たのはビョルンだけ。
単に討伐の場にいればいいという条件ではないらしい。
考えられるのは、戦闘への貢献度だ。
カシャン戦においてビョルンの存在が突出していたことは間違いない。
彼が倒れた後に犠牲者が急増した事実からも、その重要性は読み取れる。
もし攻略への寄与を何らかの形で判定しているなら、ビョルンだけが選ばれたとしても不思議ではない。
ただし、この段階で条件を断定することはできない。
最後の一撃なのか。
一定以上の貢献なのか。
図書館へ至るまでの行動も評価されているのか。
あるいは、ビョルン自身に別の条件があるのか。
現時点では不明である。
ビョルンも、分からない条件を延々と考えるより、まず結果を確認する。
資格を得たなら、何がもらえるのか。
ゲームを攻略してきた彼にとって、自然な発想だった。
黄金の本には説明書がない
ハムシクが差し出したのは、やはり黄金の本だった。
以前は資格がないため手に入れられなかった品が、ついに正式にビョルンのものになる。
当然、期待する。
資格を得たことで、途中で途切れていた内容の続きが読めるのではないか。
しかし開いてみても、以前と変化がない。
「前に見たときと同じなんだが」
しかもハムシク自身も、使い方を知らない。
報酬を得たのに使用方法は不明。
いかにも『Dungeon & Stone』らしい。
何かを手に入れたら、その使い方まで自動的に教えてもらえるとは限らない。
どこで使うのか。
何と組み合わせるのか。
どんな条件で反応するのか。
プレイヤー自身が試行錯誤して攻略法を見つける必要がある。
ビョルンも、黄金の本を以前置かれていた場所へ戻すなど、いくつか試してみたいことを考える。
しかし――今は試さない。
情報が足りないときほど手札を見せない
王家遠征軍がすぐ近くにいるからだ。
もし黄金の本を祭壇に戻した瞬間、特殊な現象が発生したらどうなるか。
新たな道が開くかもしれない。
何か別の報酬が出るかもしれない。
重要な情報が明らかになる可能性もある。
内容が分からない以上、何が起きるかも分からない。
そして一度王家に見られれば、黄金の本をビョルンだけの秘密として扱うのは難しくなる。
ハムシクの家から価値不明の品々まで回収した遠征隊を見れば、その可能性はなおさら高い。
だからビョルンは実験を後回しにし、黄金の本をポケット空間へしまう。
これは臆病なのではない。
情報と戦力を合わせて考えたうえでの保留である。
使える手札を持っていることと、今すぐ使うことは違う。
首長の島への反応にも通じる判断だ。
王家遠征軍には攻め込める戦力がある。
それでも、今行くことが最善とは限らない。
黄金の本にも何らかの力がある可能性がある。
それでも、王家の目の前で試す必要はない。
ビョルンは「できるか」ではなく、「今やる利益が、情報を失う危険を上回るか」を見ている。
王家は物量、ビョルンは情報で攻略する
今回の第560話では、王家遠征軍とビョルンの攻略方法の違いも鮮明になっている。
王家の最大の武器は物量だ。
騎士、魔術師、聖職者、大量の人員、組織的な指揮。
ハムシクの家についても、価値の分かる品だけを選ぶのではなく、判断できないならまとめて回収して後で調べる。
一個人の探索者なら、持ち運べる量にも限界がある。
しかし国家規模の遠征なら「分からないから捨てる」必要がない。
分からないから持ち帰り、専門家に調べさせる。
非常に強力な探索方法だ。
一方、ビョルンが頼るのは、ゲーム知識、過去の経験、現地で得た情報、そして相手の行動から読み取れる意図だ。
少ない手札をいつ切るか。
何を他人に見せるか。
どの情報をまだ伏せておくか。
そこまで含めて攻略している。
黄金の本を隠した判断は、その象徴と言える。
追加報酬を求めるビョルンと、何も知らないハムシク
黄金の本を受け取っても、ビョルンはそこで終わらない。
「ほかにはないのか?」
一級魔物まで倒したのだ。
もう少し報酬があってもいいだろうと考えるのは、いかにもビョルンらしい。
しかしハムシクが挙げたペンや大切な本は、すでに王家遠征軍によって持ち出されている。
ビョルンには何も言えない。
さらに翌朝には図書館を離れる予定だと伝えると、ハムシクは寂しがるどころか、ようやく家に戻って休めると喜ぶ。
「やっと家でゆっくり休める!」
ビョルンは真実を教えない。
ハムシクが隠れている間に、その家は遠征隊によって徹底的に調べられている。
今さら言ったところで元に戻せない。
説明すれば、なぜ止めなかったのかという話にもなりかねない。
結局、空腹を理由にその場を離れるビョルン。
黄金の本という重要な報酬を得た一方で、ハムシクとの再会は何とも気まずい形で終わった。
ようやく薄れた王家への疑念、その直後
翌朝。
遠征隊は首長の島へ向けて出発する準備を始める。
ビョルンの状況は、一見すると前日より良くなっていた。
カシャンを倒した。
黄金の本を手に入れた。
ハムシクとも話せた。
さらに、ジェロームが自分を生還させるために実際に動いていたことから、王家遠征軍に対する疑念もわずかに薄れている。
完全に信用したわけではない。
それでも「最初から自分を殺すための遠征なのではないか」という恐怖は、以前より弱くなっていた。
そこへ、ゴブリンの聖騎士スヴェン・パラブがやって来る。
様子がおかしい。
そして、ビョルンに告げた。
「また未来を見せられました」
以前にも特殊な夢を通じて未来に関わる光景を見たスヴェン・パラブ。
その彼が再び見たという。
ビョルンが内容を尋ねると、返ってきたのは今まで積み上げてきた状況判断と正反対の光景だった。
ビョルンが王家遠征軍に四方を囲まれ、残酷に処刑される未来。
ジェロームはビョルンを守った。
第4分隊にも保護を命じた。
どれほど犠牲が出ても、生きて連れ帰ることに意味があると語った。
その行動だけを見れば、今の遠征隊がビョルンを殺す理由は見当たらない。
なのに未来では、彼ら自身が処刑者になっている。
何が起きれば、そこまで関係が反転するのか。
現時点では分からない。
ジェロームの言葉に裏があるのか。
王家の目的に、ビョルンが知らない条件が存在するのか。
それとも、この先の探索によって状況そのものが変化するのか。
第560話の段階では、答えは示されていない。
だからこそ不気味だ。
第560話考察|「敵が見えない」ことこそ最大の危険
カシャン戦と今回の終盤を比べると、第560話の構成がよく分かる。
カシャンは強大だった。
だが敵であることは明確だった。
攻撃を耐える。
戦線を維持する。
仲間が火力を集中させる。
難易度は極端に高くても、戦うべき相手と勝利条件は見えている。
一方、今回最後に示された危機は違う。
相手になるかもしれないのは、今まさにビョルンを守っている王家遠征軍だ。
しかも、現状の情報では敵対する理由が見つからない。
ここで重要なのは、ビョルンが王家を全面的に信用した直後ではないという点だ。
彼はあくまで行動を観察し、
「少なくとも今までの動きだけを見れば、最初から殺すつもりとは考えにくい」
と判断しただけだった。
これはビョルンの情報処理の仕方そのものでもある。
首長の島に対しても、危険だと断定したわけではない。
黄金の本も、何が起きるか分からないから保留した。
王家についても、信用できると断定したわけではない。
分からないものを、分からないまま管理する。
その慎重さによって生き残ってきた。
ところがスヴェン・パラブが持ち込んだ未来は、現在の材料だけでは説明できない。
それまで積み上げてきた推論に、突然まったく違う答えが差し込まれたのである。
第560話は一級魔物との戦いを終えた回でありながら、戦闘後の方が「何を信じればいいのか分からない」という危険を強めている。
黄金の本という攻略報酬を得たことも重要だ。
首長の島へ向かう決定も重要だ。
しかし物語全体を大きく揺らすのは、最後に示された「王家遠征軍によるビョルンの処刑」という未来だろう。
ようやく敵ではない可能性を受け入れ始めた相手が、未来では自分を殺す。
この矛盾をどう解くのか。
第560話は、地下1階攻略を「どの島へ進むか」という地理的な問題から、誰の情報を信じ、誰を警戒するかという心理戦へ切り替える回になっている。
第560話まとめ
- カシャン討伐後、王家遠征軍は大きく消耗しながらも部隊を再編し、探索を継続する。
- ビョルンは首長の島に胸騒ぎを覚え、別の未探索地点を先に調べる案を出すが、ジェロームは首長の島へ向かうと決定した。
- カシャン討伐によってビョルンだけが「資格」を得て、ハムシクから黄金の本を正式に受け取った。ただし、その使用方法は依然として不明。
- ビョルンは王家遠征軍の前で黄金の本を試さず、情報を自分の手元に残すことを優先した。王家が物量で未知を攻略する一方、ビョルンは情報とタイミングを武器にしている。
- ジェロームの行動から王家への警戒を少し緩めた直後、スヴェン・パラブから「遠征隊に囲まれて処刑される未来」を告げられ、第560話は一転して不穏な状況で幕を閉じる。
次回の注目点は、現在の王家遠征軍の行動と処刑の未来がなぜ食い違っているのか、首長の島への出発がビョルンの警戒にどのような影響を与えるのか、そして手に入れた黄金の本の正体へ近づけるのかという点になりそうだ。
