バーバリアンとして生き残る – 第95話 「バーバリアントロフィー (2)」要約と考察
第95話は「伯爵主催の宴会」での第二幕。
前話で“戦利品”として晒されるビョルンの姿が描かれましたが、今回はさらに 「貴族社会での立ち回り」 と 「騎士トーナメント参戦への伏線」 が描かれます。
1. バーバリアンを演じる「利点」
ビョルンは肉をむさぼり、酒をがぶ飲みし、手をテーブルクロスで拭う。
なぜここまで野蛮に振る舞うのか？
「バロン・マルトアンの望みであり、自分にとっても利益になるから」
“野蛮人らしい評判”を広めておけば、もしも「邪霊疑惑」が向けられたときの盾になる。
つまり 「意図的にバーバリアンを演じる」 ことは、生存戦略の一環でもあるのです。
この考え方が非常に合理的で、彼の強みをよく表しています。
2. 野次を飛ばす若手騎士たち
宴会場では貴族や婦人がビョルンに興味津々。
筋肉を触らせてほしい、雄叫びをもう一度聞きたい、と“マスコット”のように扱われます。
しかし、そんな様子を面白く思わない者も。
3人の見習い騎士たちが陰口を叩きます。
- 「リトル・クラウンと呼ぶべきだ」
- 「戦士の誇りは地に落ちた」
力量は「3階層探索者」程度であり、ビョルンから見れば雑魚。
彼は挑発に乗らず、「得るものがない争いは避ける」 という冷静な判断を下します。
3. 真の貴族たちとの出会い
そこへバロン・マルトアンが登場。
ビョルンを伴い、本会場＝屋内の貴族宴席へ。
- 屋外：陽気な音楽と舞踏、若者や市民も多い。
- 屋内：200人規模、静謐な空間。参加者は伯爵家の直系や有力者ばかり。
ここでマルトアンは彼を「恩義で仕える戦士」として紹介。
ビョルンも事前に用意した台詞を繰り返し、貴族らに印象を与えます。
「困っていたところを助けられ、その恩に報いるため護衛をしている」
結果、13人の有爵者に名を覚えられることに成功。
本来なら名声が足りず会えない層に、一気に顔を売ることができました。
4. “善き伝道者” パラディン・クロヴィッツ
さらに意外な人物と再会します。
下水道の依頼後に一度会った、白銀の鎧の聖騎士。
彼の名は パル・クロヴィッツ。
なんと「第3聖騎士団長」という大役を担う人物でした。
実力は 少なくとも8階層級。
そんな大物が、かつての出来事――
「邪神カールイの女司祭を発見し討伐に導いたこと」
を誇張気味に語り、周囲にビョルンを讃えます。
これにより、
- 「名声 +20」
- 「貴族・教会双方からの評価向上」
という成果を得ました。
ビョルン自身も「後々、回復役を得るために教会との繋がりは重要」と判断し、クロヴィッツの言葉を真摯に受け止めます。
5. 伯爵ペルデヒルトとの邂逅
ついに宴の主、ペルデヒルト伯爵が登場。
娘アラベラの誕生日を祝う華やかな場面で、伯爵はビョルンを快く迎えます。
- 「リトルではなくビッグ・バルカンと呼ぶべきだ！」
- 「武器はメイスと聞いたが？」
細かすぎる発言から、伯爵が彼に以前から注目していたことが明らかに。
ビョルンはむしろ不安を覚えます。
「この地位の人間なら、7〜8階層の探索者を容易く動かせるはず。
なのになぜ、俺なんかに関心を？」
伯爵の真意は測れません。
6. 騎士トーナメントの誘い
そこで伯爵が唐突に提案します。
「後ほど、見習い騎士の武闘大会がある。お前も出てみないか？」
騎士たちの反発は自分が抑える、とまで言い切る伯爵。
曖昧に返答したビョルンでしたが、裏でバロンから再度説得されます。
- 出場だけで200万ストーン
- 名声獲得の好機
- 優勝賞品は No.7777《ガルパスの首飾り》
この番号付きアイテムは“外れ扱い”ながら、実は隠しイベントが存在。
ビョルンの脳裏に即座に浮かびます。
そして最終的に――
「……出よう」
と参加を決意します。
第95話のテーマと考察
- 「野蛮さ」を逆手に取る処世術
- 嘲笑ではなく「見世物」として受け入れる。
- その立場を利用して、疑惑から身を守る盾に変える。
- 外部評価の連鎖効果
- クロヴィッツという大物が公然と賞賛。
- → 伯爵・貴族たちが一斉に「価値ある人物」と認識。
- 名声のブーストはこうした「証言の力」で一気に広がる。
- 「大局的な不安」と「短期的な挑戦」
- 伯爵の狙いは依然として不明。
- しかし、賞品とイベントを前に「挑戦から逃げない」ことを選ぶビョルン。
- この選択は、今後の大きな転機に繋がる。
まとめ
第95話は、宴席での人脈拡大と、次なる試練の布石となる回でした。
- バロンの“戦利品”として利用されながらも、立場を逆に活かすビョルン。
- 教会の聖騎士団長クロヴィッツの支援により名声が跳ね上がる。
- 伯爵ペルデヒルトの注目と、騎士トーナメントへの参加決定。
次回以降は、いよいよ「騎士トーナメント編」が始まり、
バーバリアン vs 騎士社会 の衝突が描かれていくはずです。
