『転生したらバーバリアンになった』小説版・第537話ロングあらすじ【初心者向け・保存版】

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Surviving the Game as a Barbarian | Chapter: 537 | MVLEMPYR
The Radiant City of Kalheum, an 8th-floor rift. And the Rift Guardian that appears in its final boss room. Mirayel, the ...

【第537話】勝てないなら逃げる!天上の槍兵ミライエルとの撤退戦|『転生したらバーバリアンだった』あらすじ&考察

8階層の亀裂「光輝の都市カルヘウム」の守護者、天上の槍兵ミライエル

本来なら最終ボス部屋にいるはずの存在が、なぜか通常フィールドに姿を現した。

しかもミライエルは番号付きアイテムを使用する特殊な怪物だ。倒せば聖水(Essence)だけでなく、「緑翠の槍」をはじめとした番号付きアイテムまで手に入る可能性がある。

探索者にとっては非常に魅力的な獲物。

しかし、ビョルン・ヤンデルが下した判断は討伐ではなかった。

撤退である。

今回の第537話「虹(4)」で描かれるのは、敵を倒す強さではなく、欲を捨てて仲間を生還させる強さだ。

天上の槍兵ミライエル――魅力的すぎる強敵

ミライエルは8階層の亀裂「光輝の都市カルヘウム」の守護者であり、本来なら通常フィールドを歩き回っているような怪物ではない。

なぜここにいるのかは分からない。

だがビョルンは、その理由を考える前に戦力を計算した。

ミライエルは番号付きアイテムを扱い、その中でも「緑翠の槍」は3%の確率でドロップする。さらに聖水も優秀だ。

倒せれば大当たり。

それでもビョルンは即座に結論を出す。

「勝てない。」

これは絶対に倒せないという意味ではない。

問題は現在の状況だった。

神官は神聖力をほぼ使い切り、主力火力であるエルウィンも消耗している。他の探索者たちも疲弊し、周囲には怪物が溢れている。

万全なら勝機があっても、今ここで戦えば被害が大きすぎる。

ビョルンが見ているのは「倒せるか」ではなく、倒した後まで含めて生還できるかだった。

今の彼は、自分一人が生き残ればいい探索者ではない。

ミーシャ・カルシュタイン、エルウィン、アイナル、アメリア、ベルシルだけでなく、多くの探索者を率いる立場にいる。

だからこそ、報酬より生存を優先した。

海岸へ「突撃」――つまり撤退

アメリアに判断を求められたビョルンは即答する。

「海岸へ突撃する。」

海岸へ向かう。

要するに逃げるということなのだが、ビョルンはあくまで「突撃」と言い張る。

男爵であり、真正面から敵を粉砕するバーバリアンとしては、「逃げる」と口にするのが少し恥ずかしかったのだろう。

だが、プライドのために判断を変えることはない。

逃げる必要があるなら逃げる。

ただし、その前に処理しなければならないものがあった。

2等級の聖水だ。

試験管へ回収するには時間がかかりすぎる。

ならば、その場で誰かに吸収させるしかない。

ビョルンが選んだのはムル・アルミンだった。

2等級聖水をムル・アルミンへ

ムルはアルミン探索隊のリーダーであり、呪いを中心に戦う珍しい構築のネクロマンサーだ。

固定メンバーではない人物に2等級聖水を渡すのは惜しい。

それでもビョルンは迷わなかった。

ムルは最近レベルアップしており、聖水枠が空いていた。そして能力を最も有効活用できる候補でもあった。

「ハーピーの聖水を取れ。」

突然の指示にムルは戸惑う。

「自分は仲間でもないのに」と確認しようとするが、ビョルンには説明している時間がない。

重要なのは、価値の高い聖水を誰が所有するかではなく、誰が一番有効に使えるかだった。

アメリアの援護を受け、ムルは聖水を吸収する。

これで撤退前に最低限やるべきことは終わった。

そしてビョルンはついに叫ぶ。

「逃げるんだ!」

探索者たちは海岸へ向けて動き始めた。

殿を務めるビョルン

撤退隊列の最後尾に残ったのはビョルンだった。

前方では探索者たちが進路上の怪物を排除し、後方ではビョルンがミライエルを引き受ける。

今回の目的は討伐ではない。

ビョルンが稼ぐべきものはダメージではなく、仲間が逃げるための時間だ。

ミライエルは人間の言葉を話すものの、会話は成立しない。

血の城塞の吸血鬼公爵や白い神殿の黙示録の騎士と同じく、言葉を発していても決められた行動を繰り返す怪物に近い。

長老の村にいた知性ある怪物たちが、いかに特殊な存在だったかも分かる場面だ。

そしてミライエルが繰り返すのが、《帰還》だった。

《帰還》――使うほど強くなる緑翠の槍

ミライエルが緑翠の槍を投げる。

風切り音とともに飛来した槍を、ビョルンは盾で受け止める。

《帰還》は単体を狙う投射系能力で、一定時間が経つと投げた槍がどれほど遠くにあってもミライエルの手元へ戻る。

そして再び投げられる。

さらに厄介なのが、使われるたびに威力が上がるという性質だ。

一発目より二発目。

二発目より三発目。

通常の撤退戦なら、時間を稼ぐほど味方に有利になる。

しかし《帰還》を相手にすると、時間を稼ぐほどビョルンが危険になる。

それでも彼は受け続けるしかない。

亀裂守護者であるミライエルには決められた行動パターンがあり、現在は第一段階。

行動を予測できることだけが救いだった。

長老の剣を防いだ盾が穴だらけに

《帰還》を何度も受けるうちに、ビョルンの盾は穴だらけになっていく。

長老の剣さえ防いだ装備が、少しずつ破壊されていた。

一撃なら耐えられる。

だが攻撃は強くなり続け、盾の損傷も蓄積する。

それでもビョルンは装備を惜しまない。

盾は失っても取り戻せる。

死んだ仲間は戻らない。

今回の戦いでは、ビョルンのHPや防御力、盾の耐久値そのものが、仲間たちの逃走時間へ変換されていた。

これこそタンクの本当の役割だろう。

後方を守りながら《巨体化》したビョルンが前を見ると、仲間たちは彼がいなくてもきちんと進んでいる。

少し寂しさを覚えながらも、それは集団として成長した証拠でもあった。

海岸到着――槍が肩を貫く

やがて海が見えた。

探索者たちは崖を下り、海岸へ到着する。

だがミライエルの追撃は止まらない。

再び飛んできた緑翠の槍をビョルンは盾で防ごうとする。

しかし、槍は穴だらけになった盾をすり抜け、肩へ突き刺さった。

ミーシャとアメリアが駆け寄り、ベルシルも回復薬を取り出す。

だがビョルンは治療を断る。

「後だ。まず船を出す。」

今ここで重要なのは自分の傷ではない。

船を出し、全員を島から切り離すことだ。

ビョルンは《巨体化》したまま探索者たちを持ち上げ、次々と船へ乗せる。

戦闘用の能力を避難にも利用するあたりが、ビョルンらしい。

全員が乗船し、船が島から離れ始める。

だが最後にもう一度《帰還》が放たれた。

今度は槍がビョルンの腹部を貫く。

それでもビョルンは浜辺のミライエルを見つめ、顔を記憶した。

「次は覚えていろ。」

今回は逃げた。

だが、それは永遠に勝てないという意味ではない。

万全の状態で再戦すればいい。

生きていれば、その機会は残る。

「一人しか死ななかった」と「一人は死んだ」

船は島から離れ、生き残った探索者たちはようやく休息を取る。

しかし全員が無事だったわけではない。

犠牲者は一人。

ヘックス族の戦士、シェリアン・エマータウンだった。

あれほどの状況で犠牲者が一人だけだったことは奇跡に近い。

それでも、

一人しか死ななかった。

そして、

一人は死んだ。

数字の「1」には名前があり、顔がある。

ビョルンは彼女の顔を覚えていた。

幸い遺体は回収できており、探索者たちは船上で葬儀を行う。

外では怪物が結界へぶつかり、血が雨粒のように流れている。

その内側で遺体を焼き、灰を骨壺へ納める。

冗談を言う者もいたが、誰も咎めなかった。

極限状態の中では、悲しみとの向き合い方も人それぞれなのだ。

なぜムルに聖水を与えたのか

葬儀の後、ムルがビョルンを訪れる。

なぜ自分に2等級聖水を与えたのか。

答えは単純だった。

アイナル、アメリア、エルウィン、ミーシャにはすでに構築がある。

ベルシルは聖水を吸収できない。

アウエンも《模倣》は使えるが、パッシブ能力まで考えると最適とは言えない。

結果として、空き枠があり能力を活用できるムルが最も適していた。

「お前が一番うまく使えるからだ。」

ここには、ビョルンの聖水構築に対する考え方がよく表れている。

高等級だから強いのではない。

重要なのは、その人物の役割と既存構築に噛み合うかどうかだ。

前衛、防御、瞬間火力、継続戦闘、支援。

求める役割によって同じ聖水の価値は変わる。

一つ一つの能力ではなく、構築全体で強さを見る。

だからビョルンは、2等級聖水だからという理由だけで身内に与えることはしなかった。

善意だけではないビョルンの計算

もっとも、ビョルンには別の計算もあった。

アルミン探索隊には戦利品を受け取る権利がある。

ここでムルに高価な2等級聖水を渡しておけば、後でもっと貴重な戦利品が出た時に、彼らが取り分を強く主張しにくくなる。

つまり、

戦力強化と戦利品分配の調整を同時に行っていた。

ただの善人ではないところが、いかにもビョルンらしい。

それでも、ムルが「自分たちは部外者なのに」と言いかけると、ビョルンは当たり前のように返した。

「部外者? もう仲間だ。」

ムルは言葉を失い、何かを決意したように立ち去っていく。

ここは今後につながる重要な伏線だろう。

ビョルン自身は勧誘したつもりも、恩を売ったつもりもない。

しかし、死線では自分が殿を務め、価値の高い聖水も適性があれば惜しまず渡し、共に戦った相手を「仲間」と呼ぶ。

そうした行動そのものが、人を引きつけている。

ビョルンは「強い探索者」から、自然と人が集まる指揮官へ変わりつつある。

今回の撤退は敗北だったのか

ミライエルは倒せなかった。

緑翠の槍も聖水も得られず、盾まで壊された。

それでも今回を単純な敗北とは言い切れない。

神官は消耗。

エルウィンも疲弊。

周囲には怪物。

そこへ亀裂守護者が出現した。

この条件で討伐を強行する方が危険だった。

ビョルンは目的を「敵を倒す」から「生還する」へ切り替え、大部分の探索者を島から脱出させた。

つまり、

戦闘には勝てなかったが、探索では負けていない。

逃げるべき時に逃げる。

これは弱さではなく、探索者としての成熟だ。

《帰還》を攻略するなら長期戦は危険

今回の実戦から、《帰還》の攻略方針も見えてくる。

この能力は使用するほど威力が上がるため、長期戦になるほど不利になる。

ビョルンのような高耐久型が永遠に受け続ける戦法は成立しない。

再戦するなら、累積が進む前に火力を集中させて短時間で決着をつけるか、《帰還》の使用回数そのものを抑える方法が必要になるだろう。

そしてビョルンは今回、実際に槍を何度も受けた。

盾がどこまで耐えられるのか。

威力がどのように増していくのか。

どれほど離れても追撃されるのか。

今回の敗走は、次回攻略のための実戦データにもなっている。

「次は覚えていろ」という言葉を考えれば、ミライエルとの再戦にも期待したい。

雨季6日目――No.7777「ガルパスのネックレス」

島を脱出した後の航海は比較的穏やかだった。

怪物は依然として降ってくるものの、島の混乱と比べればはるかにましだ。

そして雨季6日目。

ようやく考える余裕を得たビョルンは、一つの決断を下す。

亜空間からペンダントを取り出すと、ミーシャの目が輝いた。

自分への贈り物だと思ったらしい。

しかしビョルンは、ミーシャならもっと良いものを狙うべきだと考える。

そして明かされるのが、

No.7777「ガルパスのネックレス」

ビョルンは、ついにこれを使うことを決めた。

何のために使うのかは、まだ明かされていない。

ただ、ミライエルとの遭遇で現在の戦力不足を実感し、雨季もまだ終わっていない。

そんな中で温存していた番号付きアイテムを使う以上、今後へ向けた重要な準備である可能性は高い。

まとめ

第537話「虹(4)」では、天上の槍兵ミライエルという強敵を前に、ビョルンが討伐ではなく撤退を選んだ。

重要なのは、その判断が恐怖ではなく、戦力・消耗・報酬・生存率をすべて計算した結果だったことだ。

  • ミライエルを前に即座に撤退を決断
  • 2等級聖水を最も適性の高いムルへ渡す
  • ビョルン自身が殿を務め、《帰還》を受け続ける
  • 一人の犠牲を出しながらも、大部分が島から生還
  • ムルを「仲間」と認め、彼の心境に変化が生まれる
  • 最後にNo.7777「ガルパスのネックレス」の使用を決意

今回描かれたのは、敵を倒す強さだけではない。

自分の身体や装備を使って、周囲の人間まで生かして帰る強さ。

ビョルンが単なる強い戦士から、人を率いる指揮官へ変わっていることがよく分かる一話だった。

そして次回は、ガルパスのネックレスを何のために使うのか、ムルが何を決意したのか、そしてミライエルとの再戦があるのかに注目したい。

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