『転生したらバーバリアンになった』小説版・第562話ロングあらすじ【初心者向け・保存版】

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Surviving the Game as a Barbarian | Chapter: 562 | MVLEMPYR
Jerome Saintred. If I get rid of him, there's a high chance all the problems will be solved. They say the flap of a butt...

『転生したらバーバリアンだった』第562話あらすじ&考察|予知夢を避けるほど未来へ近づく不気味なチーフ島

ジェローム・セイントレッドを消せば、未来は変わるのか

第562話は、ビョルン・ヤンデルが予知夢の未来をどう崩すか考える場面から始まる。

前話でスヴェン・パラブを通じて示された未来では、ビョルンは遠征隊によって処刑される。そして、その場に深く関わっていた人物の一人が遠征隊長ジェローム・セイントレッドだった。

ただし、未来は完全に固定されているわけではない。

それなら、予知夢を構成する重要人物を先に消してしまえばいい。

ジェロームがいなくなれば、同じ未来へ進む可能性も大きく下がる。

小さな変化が後に巨大な結果を生むことがあるなら、予知夢の中心人物そのものを盤上から除外するのは理屈としては分かりやすい。

問題は、その方法だった。

「どうやって消す?」

仲間たちとジェロームを人目のない場所へ誘導し、密かに倒す。

考えるだけなら簡単だが、実行はほとんど不可能に近い。

ジェローム自身が強いというだけではない。

ビョルンには、彼を「殺した後」にこそ最大の問題があると分かっていた。

《異端者の祭壇(Heretic Altar)》という厄介な保険

過去、アウリル・ガビスに倒されたジェロームの身体は、普通の死体を残さず光の粒子となって消えた。

その光景から、ビョルンはジェロームが持つ聖水(Essence)について一つの推測をしている。

候補は8階層の亀裂を守る2等級モンスター、エブルス。

そして、その能力の一つである《異端者の祭壇(Heretic Altar)》だ。

この能力は祭壇を設置し、死亡した使用者をそこへ復活させる特殊なもの。祭壇は一つしか設置できず、三回使用すると破壊される。

もしジェロームが本当にこの能力を持っているなら、暗殺は解決策にならない。

殺したはずのジェロームが別の場所で復活し、王都へ戻ればいいからだ。

そうなれば、遠征隊長を秘密裏に殺害しようとしたビョルンたちのほうが反逆者になる。

予知夢を避けるための暗殺が、そのままビョルンの処刑理由を作りかねない。

さらにビョルンは、王家がジェロームを遠征隊長に選んだ理由の一つも、この生存能力にあるのではないかと推測する。

遠征隊が壊滅する最悪の状況でも、指揮官だけが生還して情報を王都へ持ち帰れるなら、遠征任務との相性はいい。

ただし、これはあくまでビョルンの推測であり、王家の意図として確定しているわけではない。

動けば危険、動かなくても怖い

ここでビョルンは行き詰まる。

ジェロームを排除すれば未来が変わるかもしれない。

しかし排除に失敗すれば、自分から予知夢を成立させる原因を作ってしまうかもしれない。

「本当に……こうやって起きるのか?」

この疑問が、第562話全体を覆う不気味さにつながっている。

予知夢で見えたのは「結果」だ。

なぜジェロームがビョルンを処刑するのか。

何が遠征隊を敵に回らせるのか。

仲間たちはその時どうなっているのか。

肝心の因果関係が分からない。

だから先回りして動こうとするほど、その行動自体が未来の原因になる可能性を捨てきれない。

かといって何もしなければ、予知夢どおりの未来がそのまま訪れるかもしれない。

結局ビョルンは有効な方法を見つけられないまま、まず自分の仕事を続けることにする。

雨季終了――チーフ島への上陸

一日、二日、三日。

時間が流れ、ついに雨季が終わった。

短い虹が現れて消え、その様子は遠征隊の記録用水晶にも残される。

雨季の間に大きな負担を背負っていた魔法使いたちには半日の休息が与えられ、その後、ジェロームの号令によって遠征隊は船を降りた。

ここから本格的なチーフ島探索が始まる。

雨季直後の島で目立ったものは二つ。

大量のモンスターと、膨大な魔石だった。

通常個体だけでなく変異個体も確認される一方、地面には数万単位とも思える魔石が散乱している。

遠征隊員たちの空気は一気に明るくなる。

王家が迷宮へ軍を派遣した場合、そこで得られた魔石の利益が隊員たちへ分配される慣例があるためだ。

成果を上げれば報酬も増えるかもしれない。

欲しかった魔道具を買えるかもしれない。

そんな期待が隊員たちの間に広がる。

一方、ジェロームは浮かれない。

「勝手に持ち出せば厳罰に処す」

回収担当の魔法使いたちにも注意を促し、散乱した魔石を集めながら、あくまで最短経路で目的地を目指す。

富が目の前にあっても、任務そのものを優先する。

この姿勢を見る限り、現時点のジェロームは遠征隊長として合理的に行動している。

だからこそビョルンにとって厄介でもある。

予知夢では自分を処刑する人物。

しかし現在の彼には、今すぐ敵として攻撃する根拠がない。

消えたチーフ村の入口

やがて遠征隊は、ビョルンが以前訪れたチーフ村の入口へ到着する。

ところが、そこに入口はなかった。

隠された木々の下を調べても、見えるのは塞がれた地面だけ。

相手が遠征隊の接近に気づき、入口を閉鎖した可能性もある。

ただ、ビョルンには一つ重要な情報があった。

雨季が終わってモンスターが減ると、地下に暮らす彼らは地上へ出て魔石を集める。

しかも魔石は彼らにとって重要な食料でもある。

ならば地下へ永久に籠もっていることは難しい。

この情報を聞いたジェロームは、無理に地下へ突入するのではなく、入口周辺を包囲して待つことを選ぶ。

「この木を中心に包囲陣を組め!」

相手が自分から出てくる必要があるなら、危険な地下へこちらから踏み込む必要はない。

地上で待ち、出てくる瞬間を押さえる。

ここでもジェロームは、ビョルンが持つ現地情報と王家遠征軍の人数を組み合わせている。

王家遠征軍の強みは「同時進行」にある

包囲中も、遠征隊はただ待っているわけではない。

島に散らばった魔石を回収するため、機動力の高い探索者と回収能力を持つ魔法使いを中心に特別班が組まれる。

つまり本隊はチーフ村を監視しながら、別働隊に島の資源回収を任せられる。

探索者の少人数パーティーとは違い、王家の遠征軍は役割ごとに戦力を分け、複数の任務を並行して進められる組織なのだ。

そして、その別働隊にアメリアとエルウィンまで選ばれる。

ビョルンは止めたい。

特にエルウィンを自分の目の届かない場所へ送り出すことには強い不安がある。

しかしジェロームの命令を覆すことはできない。

「一時的でも遠征隊に所属した以上、任務に区別はつけられない」

ジェロームの主張は筋が通っている。

ビョルンの仲間だからという理由で危険な仕事から外し続ければ、軍としての統制は崩れてしまう。

だからビョルンは不安を抱えながらも、二人を送り出すしかなかった。

二日間の平穏――だからこそ怖い

ところが何も起きない。

一日目も無事。

二日目も無事。

島の魔石回収は順調に進み、アメリアとエルウィンも問題なく帰還する。

遠征隊の仲間たちは、久しぶりの平穏を楽しんでいた。

しかしビョルンには、それが「嵐の前の静けさ」にしか感じられない。

雨季終了からまもなく三日目。

予知夢の舞台と思われるチーフ島。

ジェロームもいる。

仲間たちもいる。

条件はまだ完全には一致していない。

それでも何かが近づいている感覚を捨てられない。

そんなビョルンへ声をかけたのがレイヴンだった。

レイヴンとの雑談が示す「未知の価値」

レイヴンによれば、図書館から得た資料の研究はすでに終了していた。

大発見が続いたからではない。

むしろ、これ以上そこから有益なものを得るのは難しいと判断したからだ。

ただし、召喚に関する書物そのものは大きな成果だったらしい。

名前の由来や、既存研究では分かっていなかったモンスターの特徴まで記されている。

レイヴンにとっては学術界が騒ぐほどの価値がある。

だが今のビョルンには、その熱意があまり響かない。

彼が気にしているのは研究成果ではなく、自分と仲間がこの遠征を生きて終えられるかどうかだからだ。

そんなレイヴンが次に興味を示したのが、地下に暮らす青い住人たちだった。

彼らは自分たちを「人間」と呼ぶ。

さらに族長は竜騎士を名乗っている。

古い時代の記録が乏しいこともあり、レイヴンは本人に直接確認したいことが山ほどある様子だ。

ビョルンにとっては危険な未知、レイヴンにとっては貴重な研究対象。

同じ存在を見ても、立場によって価値がまったく違う。

それでもレイヴンとのくだらないやり取りによって、張り詰め続けていたビョルンの緊張は少しだけ和らぐ。

「俺は人間じゃない。バーバリアンだ」

レイヴンの言葉尻を拾ってからかい、怒らせる。

いつもの二人らしいやり取りだった。

そして皮肉にも、ビョルンが少しだけ気を緩めた直後に異変が起きる。

「エルウィンが魔法使いを殺そうとしている」

突然、アウエンが汗だくになって駆け込んでくる。

ビョルンの頭には一瞬で無数の可能性が浮かぶ。

村で何か起きたのか。

モンスターが現れたのか。

あるいは別の入口でも見つかったのか。

だが報告は予想外だった。

「エルウィン様が遠征隊の魔法使いを殺そうとしています!」

現場へ急ぐと、そこには激怒するエルウィンがいた。

アメリアが後ろから身体を押さえ、標的となった魔法使いは騎士の背後へ隠れている。

騎士たちは剣を抜いていた。

一歩間違えれば、仲間内の騒動では済まない。

王家遠征軍の魔法使いにエルウィンが襲いかかれば、騎士たちは彼女を止めなければならない。

そしてエルウィンが本当に相手を殺せば、ビョルンまで無関係ではいられない。

予知夢で恐れていた「遠征隊との敵対」が、まったく想定していなかった形で始まる危険さえあった。

だが、ビョルンの意識を最初に奪ったのはそこではなかった。

エルウィンの髪だった。

長かった髪が、短くなっている。

味方の誤射が、予知夢の条件を一つ成立させる

騒動の原因は戦闘中の事故だった。

臨時第四分隊の半数が外周警戒を担当していたところ、境界付近へモンスターが接近。

隣接する第一分隊と共同で戦闘になり、その際、第一分隊の魔法使いが風魔法の軌道を誤った。

本来なら敵へ向かうはずの魔法が、エルウィンへ飛んだ。

「ま、間違いだったんです!」

魔法使いからすれば故意ではない。

しかもエルウィンは咄嗟に身を低くして回避したため、身体に傷は負っていない。

だが、避けた際に長い髪だけが風魔法によって切断された。

結果として生まれたのが、予知夢でビョルンが見た短髪のエルウィンだった。

ここが第562話最大の転換点だ。

ビョルンは前話で、エルウィン本人に髪を切るつもりがないことまで確認していた。

本人が髪を切らなければ、その部分だけは予知夢と一致しない。

そう考えていた。

ところが現実は、本人の意思とはまったく違う経路で同じ結果を作った。

味方の魔法使いが軌道を間違える。

エルウィンが避ける。

身体ではなく髪だけが切れる。

あまりにも偶然で、あまりにも小さな事故だ。

それなのに、予知夢との一致点が一つ増えてしまった。

エルウィンの怒りと、「見ないで」に隠れた本音

もちろん、エルウィンが激怒する理由も理解できる。

結果的に無傷だったとはいえ、味方の魔法で命を奪われかけたことに変わりはない。

だが相手を殺してしまえば、今度はビョルンまで巻き込む。

アメリアもそこを理解しているからこそ、力ずくでエルウィンを止めていた。

ビョルンも我に返る。

短髪になった。

しかし、今この瞬間に処刑が始まったわけではない。

ならばまず、目の前の状況を収めるべきだ。

ところがビョルンが近づいた瞬間、エルウィンの態度が一変する。

「見ないで!」

先ほどまで魔法使いを殺すと叫んでいた彼女が、ビョルンの姿を確認した途端に顔を隠し、その場へ崩れ落ちる。

髪を失った怒りだけではなく、その姿をビョルンに見られることへの強い羞恥もあったのだろう。

結果的にはビョルンが現れただけで、エルウィンの殺気は一度止まった。

しかしビョルンには、予知夢との一致が増えた事実のほうが重く残る。

木々の向こうの「青」――包囲そのものが崩れる瞬間

エルウィンから見るなと言われ、ビョルンは視線を別方向へ向ける。

そこで気づく。

木々の間で、何か青いものが動いた。

最初は見間違いかと思う。

しかしすぐに違和感が生まれる。

チーフ村の入口は、そちらではない。

遠征隊はビョルンが知っている入口を中心に包囲していた。

だが、もし青い住人が別方向から現れたのなら、前提そのものが崩れる。

ビョルンが以前使った入口が、地下集落へ通じる唯一の道だとは限らない。

別の出入口があるのかもしれないし、遠征隊が把握していない移動経路が存在する可能性もある。

この時点では詳細までは分からない。

それでも危険性を判断するには十分だった。

「奇襲だ!!」

ビョルンは確認を待たない。

もし誤認なら、後から訂正できる。

だが本当に敵が接近しているなら、警告が一秒遅れるだけで死人が出るかもしれない。

待つことの危険が、先に警告する危険を上回っている。

だから即座に叫ぶ。

この瞬間、二日間続いた静かな包囲は終わる。

地下に隠れていた存在が地上へ姿を現したところで、第562話は幕を閉じる。

考察|ビョルンは未来を変えているのか、それとも近づいているのか

第562話で特に重要なのは、ビョルンが予知夢を「攻略対象」として捉え始めている点だ。

彼の考え方は、これまで迷宮で未知の敵へ対応してきた方法とよく似ている。

敵の能力を把握する。

危険な条件を探す。

最悪の展開を事前に潰す。

ジェローム、チーフ島、エルウィンの髪。

予知夢に映った要素を分解し、そのどこかを変えれば同じ結果にはならないと考えている。

だが今回、その攻略法に大きな穴が見えた。

予知夢に映っているのは「原因」ではなく「結果」

エルウィンが短髪だったことが象徴的だ。

ビョルンは「髪を切らせなければいい」と考えた。

だが短髪は未来を発生させる条件ではなく、未来へ至る過程で生まれた結果の一つだった可能性がある。

だから本人が髪を切らなくても関係なかった。

偶然の事故によって同じ見た目が完成した。

ここから考えると、予知夢を一枚の写真として分析するだけでは不十分なのかもしれない。

重要なのは、

なぜジェロームが処刑する側にいるのか。

なぜチーフ島らしき場所でその状況が発生するのか。

なぜ仲間たちは処刑を防げないのか。

という因果関係だ。

表面的な条件ではなく、その未来を生み出す原因そのものを崩さなければならない。

「運命が修正している」とまでは断定できない

エルウィンの髪が偶然切れたことで、「未来を変えても運命が別の方法で元に戻している」と考えたくなる。

ただ、第562話だけでそこまで断定することはできない。

神から伝えられた情報では、未来そのものは変えられる。

今回の事故も、単なる不運な偶然である可能性は残る。

それでもビョルンにとって怖いのは、自分が管理できる範囲には限界があると分かったことだ。

本人に髪を切らせないことはできる。

しかし、味方の魔法使いが誤射することまでは予測できない。

ジェロームを警戒することはできる。

しかし、未知の地下集落がどの経路から動くかまでは完全には把握できない。

予知夢を避けるには、単に「違う選択を一回する」だけでは足りない可能性がある。

ジェロームを殺さなかった判断は合理的

一方、ジェロームへの対応を見ると、ビョルンは決して予知夢に振り回されているだけではない。

もし「未来で敵になるから」という理由だけでジェロームを攻撃していたら、現在の遠征隊を自分から敵に回していた可能性が高い。

しかも《異端者の祭壇(Heretic Altar)》による復活が可能なら、秘密裏に始末することさえ難しい。

現在のジェロームは、少なくとも第562話では指揮官として合理的に振る舞っている。

魔石より任務を優先する。

地下へ無理に突入せず包囲する。

適性に応じて別働隊を編成する。

だからビョルンには、今の彼を敵と断定する材料が足りない。

未来の敵と、現在の敵は同じとは限らない。

情報が不足した状態で強大な戦力を使えば、自分から破滅への道を作ることもある。

ビョルンが暗殺を実行しなかったのは、成功率と失敗時の損失を計算した結果と見るべきだろう。

王家遠征軍とビョルンの情報は、互いを補っている

チーフ島探索では、ビョルンの経験が非常に重要になっている。

彼は以前この場所へ来ている。

地下に集落があることを知っている。

住人たちが自らを「人間」と呼ぶことも、雨季後に魔石を集めることも知っている。

しかし、ビョルンもすべてを知っているわけではない。

実際、以前使った入口は塞がれていた。

さらに最後には、入口とは別方向から青い影が現れている。

一方、王家遠征軍には人数、魔法使い、騎士、探索者、記録手段、指揮系統がある。

ビョルンには現地経験があり、遠征軍には組織としての探索能力がある。

この二つを組み合わせるからこそ、未知の地下集落へ本格的に接触できる。

逆に言えば、どちらか一方だけを信用しすぎるのも危険だ。

ビョルンの過去の経験だけでは、地下1階を含む現在の構造まですべて把握できない。

遠征軍の物量だけでは、住人たちの習性や過去の因縁までは分からない。

第562話最後の奇襲警告は、その情報不足を一気に突きつける場面でもある。

レイヴンが示す「戦わずに得る情報」の価値

レイヴンが青い住人や竜騎士を名乗る族長へ強く興味を持っていた点も重要だ。

彼女が知りたいのは、単純な戦闘能力だけではない。

彼らが何者なのか。

なぜ自分たちを人間と呼ぶのか。

族長の正体は何なのか。

過去の時代とどのようにつながっているのか。

こうした情報は、相手を倒してしまえば失われる可能性がある。

だから未知の相手との接触では、戦闘力と同じくらい情報収集が重要になる。

ビョルンにとっても同じだ。

今最も知りたいのは、「誰を倒せば助かるか」だけではない。

なぜ自分が処刑される未来になるのか。

その原因だ。

誰が何を知っているのか。

誰が誰と敵対しているのか。

何が未来の引き金になるのか。

情報を集め、それと自分たちの戦力を組み合わせて初めて正しい判断ができる。

即断する場面と、待つ場面の違い

ジェロームについては、ビョルンは動かなかった。

一方、木々の中に青い影を見つけた瞬間には即座に「奇襲だ」と叫んだ。

一見すると正反対の行動だが、判断基準は共通している。

ジェロームを先に殺した場合、予知夢を回避できるかどうかは不明で、失敗すれば反逆者になる損失が大きすぎる。

だから情報が揃うまで動かない。

対して青い影は、本当に奇襲なら警告の遅れがそのまま味方の死につながる。

誤報による損失より、黙っていた場合の損失のほうが大きい。

だから即断する。

ビョルンは慎重なのでも大胆なのでもなく、その場で最も致命的な失敗を避けようとしている。

この状況判断こそ、単純な戦闘力とは別の彼の強さだ。

第562話まとめ|条件を壊すだけでは未来は変わらない

第562話は大規模な戦闘そのものより、予知夢の条件が静かに現実へ揃っていく恐怖が中心となった回だった。

重要ポイントは次の5つだ。

  • ビョルンはジェローム排除を考えるが、《異端者の祭壇(Heretic Altar)》による復活を想定し、暗殺が逆に自分を反逆者へ追い込む危険を察する。
  • 雨季終了後のチーフ島には大量のモンスターと数万規模の魔石が現れ、王家遠征軍は資源回収と本来の探索任務を並行して進める。
  • チーフ村の入口が塞がれていたため、ジェロームはビョルンの情報を利用して地下へ突入せず包囲を選択する。
  • 味方魔法使いの誤射によってエルウィンの髪が偶然切れ、予知夢で見た短髪という要素が本人の意思とは無関係に現実化する。
  • 遠征隊が監視していた入口とは別方向に青い影が現れ、ビョルンは即座に奇襲を警告する。

特に重要なのは、予知夢に映ったものを単純な「発生条件」と考えないことだろう。

短髪のエルウィンは原因ではなく、そこへ至る途中で生まれた結果だった可能性が高い。

ならばジェロームの存在も、チーフ島という場所も同様かもしれない。

未来の外見を変えるのではなく、未来を生み出す原因そのものを探さなければならない。

次回の注目点は、別方向から現れた青い住人たちが何を目的としているのか、遠征軍がその出現へどう対応するのか、そして今回増えた予知夢との一致がビョルンの判断にどこまで影響するのか。

未来は変えられる。

だが第562話は、その言葉が決して「簡単に未来を避けられる」ことを意味しないと突きつける一話になっている。

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