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【徹底解説】深淵の霧を突破するビョルン|『転生したらバーバリアンだった』第506話あらすじ&考察
九体目の恐怖の君主が討伐されたことで、迷宮一階に深淵の君主ヴェルザクが出現した。
前話で太陽・月・星の「無名の欠片」をそろえたビョルン・ヤンデルたちは、隠しエリアの仕掛けを試すため、三階から二階のゴブリンの森へ戻ってきた。
しかし、一階へ戻ればヴェルザクと遭遇する危険がある。引き返せば、長時間をかけて集めた欠片が無駄になる。
第506話では、ビョルンが仲間の意見を聞いたうえで一階へ戻り、自ら罠を踏みながら目的地を目指す姿が描かれる。
同時に、前話でアメリア・レインウェイルズとの差を痛感したミーシャ・カルシュタインが、本当に自分の意見を言えるのかも重要な焦点となっている。
ヴェルザク出現と探索者たちの救助活動
深淵の君主ヴェルザクは、九体目の恐怖の君主が倒されたあとに現れる隠しフィールドボスだった。
ビョルンは、この展開を予想していた。
一階には多くの探索隊が集まり、それぞれが君主級魔物の討伐や隠しエリアの発見を狙っていたからだ。
幸い、ヴェルザクが現れた時点で、多くの探索者はすでに二階へ避難していた。
ただし、危険を理解できなかった者や、隠しエリアへの欲を捨てられなかった者も残っていた。
そこで十のクランが協力し、一階に残された探索者を二階へ運ぶ救助活動を行っていた。
六日目には、一階で人を見つけること自体がほとんどなくなっていたという。
ビョルンが救助隊を労うと、探索者は自分たちの行動を特別な功績として語らなかった。
「大変だったかどうかは関係ありません。やらなければならないことでした。」
探索者は利益や名声を求めて危険へ飛び込む一方、危機に陥った仲間を救うために協力することもある。この言葉には、迷宮で生きる者たちの最低限の倫理が表れていた。
救助の英雄だと誤解されるビョルン
救助を行った探索者たちは、ビョルンを尊敬の目で見ていた。
だが、今回のビョルンは救助活動をしていない。
ヴェルザクが現れる可能性を知りながら、自分たちの目的を優先して三階へ向かっていた。
そのため、命を懸けて人を救った探索者から英雄として見られることに、ビョルンは罪悪感を覚える。
ところが、ビョルンが三階側から戻ってきたと知ると、周囲は勝手に別の物語を作り始めた。
一階の探索者を二階へ逃がすだけでなく、さらに安全な場所まで案内していたのではないか。
功績点を必要としない立場なのに、誰よりも救助へ尽力したのではないか。
ビョルンが否定できないまま、名声は次々と上昇していった。
一度英雄として認識されると、曖昧な行動まで善意として解釈される。
本人の意図よりも、周囲が信じたい英雄像のほうが強くなっているのである。
ただし、この誤解はビョルンにとって都合のよい隠れみのにもなる。
今後、隠しエリアの攻略法が明らかになれば、三階へ向かった理由を調べる者が現れるかもしれない。
救助活動をしていたという誤解は、無名の欠片を集めていた事実を隠す口実になる。
一階へ戻るかを決めるクラン会議
ビョルンは独断で一階へ戻らず、仲間全員へ意見を求めた。
ゴブリンの森のポータルから目的の石碑までは、全速力でも一時間以上かかる。
一階に長く滞在するほど、ヴェルザクと遭遇する危険は高まる。
さらに、無名の欠片で本当にポータルが開く保証もない。
アメリアは、方法に確信があるなら挑戦する価値があると答えた。
失敗すれば危険な一階を往復することになるため、根拠の強さが重要だという現実的な意見である。
エルウィンは、現在の自分たちは過去より強いとして賛成した。
アイナルは、三階まで行って欠片を集めた以上、ここで諦めるのは惜しいと考えた。
バーシルは、失敗しても次回の攻略に役立つ情報を得られるとして賛成した。
同じ賛成でも、三人の判断軸は異なる。
エルウィンは現在の戦力、アイナルは投入した努力、バーシルは検証から得られる情報を重視していた。
反対意見を言えたアウエン
アウエンは当初、クランマスターの判断に従うと答えた。
しかし、ビョルンはそれを認めない。
「あなたも、このクランの一員だ。」
クランの一員である以上、ただ従うのではなく、自分の考えを示す必要がある。ビョルンはアウエンにも判断への参加を求めた。
促されたアウエンは、一階へ戻ることに反対した。
ヴェルザクは過去に数千人を殺している。
もしビョルンや仲間たちが命を落とせば、一つのクランだけでなく、人類全体にとって大きな損失になるという理由だった。
アウエンは未知の利益より、すでに存在する戦力を失う危険を重視した。
賛成者が多い中で反対意見を言える人物は、クランが勢いだけで進むのを防ぐ安全装置になり得る。
ミーシャは自分の意見を言えたのか
最後に意見を求められたミーシャは、長く言葉を詰まらせた。
危険ではある。
しかしポータルが開けばビョルンのためになる。
失敗しても情報は得られる。
賛成と反対の理由を行き来しながら、結論を避けようとしていた。
ビョルンが求めたのは状況の説明ではない。
ミーシャ自身の考えだった。
最終的に彼女は、成功する確信があるなら行ったほうがよいと答える。
少なくとも「どちらでもいい」と逃げず、結論を選んだ点では前進している。
だが、答える直前にミーシャはアメリアの様子をうかがっていた。
その結論も、アメリアとほぼ同じ条件付き賛成だった。
前話では、ビョルンが求める答えを探した。
今回は、アメリアのような仲間になるための正解を探している。
相手が変わっただけで、自分の外側に答えを求める癖は残っている。
それでも、自分の意見を持とうとし始めたことは確かである。
今回の場面は成長の完成ではなく、自立しようとして最初につまずいた場面といえる。
仲間の意見を聞き、責任は自分で負う
意見は、賛成三人、反対一人、条件付き賛成二人に分かれた。
ビョルンは一階へ戻ると決断する。
これは単純な多数決ではない。
ビョルンは全員の視点を集めたうえで、最終責任をクランマスターとして引き受けた。
仲間に意見を求めるのは、責任を分散させるためではない。
自分一人では見落とす危険や価値を確認し、全員が作戦の危険性を理解した状態で進むためである。
意見は共有する。
だが、決断後の指揮系統は一つにまとめる。
危険地帯を進むクランとして、合理的な運営方法だった。
深淵の霧に覆われた一階
ビョルンたちが一階の結晶洞窟へ入ると、黒い霧が周囲へ広がった。
ヴェルザクの出現によって発生するフィールド効果「深淵の霧」である。
深淵の霧には、三つの大きな効果があった。
- アイテムの特殊効果が無効化される
- 魔法効率が四分の一へ低下する
- 霧にさらされた魔物が上位個体へ進化する
アイテム効果の無効化によって、能力値や耐性を補っていた装備の恩恵が失われる。
魔法職は、同じ魔力を使っても通常より低い威力しか出せない。
探索者側が弱体化する一方、魔物は時間とともに強化されていく。
ヴェルザクと遭遇しなくても、一階そのものが危険地帯へ変化していた。
ビョルン一人が罠を引き受ける突破戦術
「離れるな。俺が踏んだ場所だけを通れ。」
ビョルンは先頭に立ち、仲間へ一列でついてくるよう指示した。
深淵のゴブリンが設置した罠は、肉眼でも魔法でも発見できない。
実際に踏むまで、位置も効果も分からない。
そこでビョルンは、罠を探すのではなく、自らすべて発動させる方法を選んだ。
一度発動した罠を後続が踏む危険はない。
ビョルンだけが被害を受け、仲間は彼の足跡を通る。
一人の体力を削る代わりに、クラン全体の体力と魔力を温存する戦術である。
ビョルンは道を知る案内役であり、罠を受けても走り続けられる盾役でもある。
この二つを同時に担えるからこそ成立する方法だった。
魔法抵抗に生じた構築上の弱点
最初に作動した無作為の罠は、尾のように伸びる炎を放った。
現在のビョルンには、物理攻撃がほとんど効かない。
だが、魔法攻撃は以前より痛く感じられた。
原因は、マンティコアの聖水を外したことで魔法抵抗が低下していたためである。
現在のビョルンは総合的には過去より圧倒的に強い。
しかし聖水構築を変えれば、新しい強みを得る一方で、以前持っていた性能を失う。
普段なら《巨体化(Gigantification)》などで補えるが、深淵の霧の中では能動能力を自由に使えない。
強さは能力値の総量だけでは決まらない。
環境によって、普段は隠れている弱点が露呈する。
深淵の霧は、マンティコアの聖水を外した代償を最も悪い形で表面化させた。
「少し痛むだけだ。一時間走ればいい。」
ビョルンは危険を軽視しているのではない。目的地までの距離と、自分が耐えられる損傷を比較したうえで、仲間へ被害を分散させるより合理的だと判断していた。
回復できないことを前提に走る
ビョルンは炎、雷、刃、衝撃などの罠を受けながら走り続けた。
物理系の罠は高い防御力で受け流せる。
一方、魔法系の罠では体力が大きく削られる。
後続は少しでも横へずれれば別の罠を踏むため、ビョルンの足跡を正確に追わなければならない。
ビョルンも自分の最高速度ではなく、全員が隊列を維持できる速度で走っていた。
途中で回復薬を飲むが、以前のような即時回復は得られない。
最大体力が大きく増えたことで、一般的な回復薬の効果が相対的に小さくなっているからだ。
さらに深淵の霧では、アイテム効果や魔法による回復も制限される。
そこでビョルンは、安全圏を維持することを諦め、体力が減ることを前提に進んだ。
《英雄の道》を利用した低体力構築
約四十分後、ビョルンの体力が半分を下回り、常時能力《英雄の道》が発動した。
《英雄の道》は、体力が減るほど各種耐性を高める能力である。
体力が下がる。
耐性が上昇する。
罠一回あたりの損傷が抑えられる。
その結果、後半ほど走る速度を上げられる。
今回の突破戦術と非常に相性のよい能力だった。
ただし、体力が減るほど安全になるわけではない。
耐性が上がっても、残り体力そのものは少ない。
低体力の状態でヴェルザクや想定外の大攻撃を受ければ、一撃で倒される可能性がある。
《英雄の道》は追い詰められた状態から生還する確率を高める能力であり、危険な状態を安全へ変える能力ではない。
今回使えたのは、ビョルンが道の長さと罠の危険度を知っていたからである。
英雄的行動と合理的な危険分担
アメリアとバーシルは、罠を受けながら進み続けるビョルンを見て、なぜ彼が有名なのか理解したと語った。
話として聞くのと、目の前で見るのとでは印象がまるで違う。
仲間から見れば、自分だけが傷つき、全員を守る英雄的な行動である。
だが、ビョルン本人は自己犠牲だと考えていない。
誰かが罠を踏む必要がある。
自分なら生き残れる。
全員へ被害を分散するより、自分一人で受けたほうがよい。
そう計算しただけだった。
無計画な自己犠牲は、自分が倒れた後の影響を考えない。
ビョルンは、自分の耐久力、移動時間、仲間の残存戦力、能力の発動条件まで考えたうえで危険を引き受けている。
合理的な判断が、周囲からは英雄的に見えているのである。
体力二〇%で目的地へ到着
ビョルンの体力は四〇%、三〇%、二〇%と減り、《英雄の道》は最大効果へ達した。
そのころ、一行は石碑のある場所へ到着する。
ヴェルザクとは遭遇しなかった。
ビョルンの体力は大きく減ったが、仲間たちは無傷であり、魔力も温存されている。
個人単位では危険な方法だったが、クラン全体の残存戦力を考えれば、突破作戦は成功していた。
しかし、目的地には予想外の光景が広がっていた。
石碑の前で待つ大量の探索者
石碑の周囲には、大勢の探索者が集まっていた。
彼らは、ヴェルザクが倒されればポータルが開くかもしれない、あるいは迷宮が閉じる直前に変化が起こるかもしれないと考え、待ち続けていた。
ヴェルザクが現れたらどうするのかと問われても、答えは変わらない。
「それが探索というものでしょう。」
彼らは危険を理解していないわけではない。それでも未知の発見を得るため、命を賭けることを選んでいた。
ビョルンは、その無謀さに呆れる。
ただし、外から見れば、ビョルンもヴェルザクがいる一階へ戻った探索者の一人である。
違いは準備と根拠だった。
ビョルンには太陽・月・星の無名の欠片がある。
目的地までの道を知り、戦力と帰路も計算している。
石碑前の探索者たちは、何かが起こるかもしれないという可能性だけに命を賭けている。
無謀と挑戦を分けるのは、恐怖を感じるかどうかではない。
危険をどこまで理解し、成功確率を高め、失敗時の損失を管理しているかである。
大勢の探索者が生む新たな問題
探索者の一人は、ビョルンがポータルの開け方を知っているのかと尋ねた。
三種類の欠片が鍵だったとしても、この人数の前で使えば開放条件は一気に広まる。
ポータルが開いた瞬間、大勢が押し寄せる可能性もある。
人数制限があれば、ビョルンの仲間が入れないかもしれない。
全員が入れるなら、内部の報酬を独占できない。
欠片を奪おうとする者や、仕掛けを先に操作しようとする者が現れる危険もある。
さらに、ヴェルザクが石碑へ来れば、低階層の探索者を見捨てて撤退できるのかという問題まで生じる。
ビョルンたちは深淵の霧と罠を突破した。
しかし目的地で待っていたのは、魔物ではなく、同じ発見を狙う人間たちだった。
まとめ
第506話では、ビョルンが仲間の意見を聞き、最終責任を引き受けて一階へ戻った。
アメリアは成功確率、エルウィンは戦力、アイナルは投入した努力、バーシルは情報価値、アウエンは人類全体の損失を重視した。
ミーシャも結論を口にしたが、まだアメリアの答えを意識しており、自立は完成していない。
一階では、深淵の霧によってアイテム効果と魔法効率が失われた。
ビョルンは自ら罠を踏み、仲間を無傷で目的地へ導く。
マンティコアの聖水を外したことで魔法抵抗は低下していたが、巨大な体力と《英雄の道》を利用し、クラン全体の戦力を温存した。
そして石碑の前には、大勢の探索者が待っていた。
無名の欠片でポータルを開けたとしても、攻略法の流出、入口への殺到、報酬争い、ヴェルザク出現時の救助問題が起こり得る。
隠しエリア攻略は、仕掛けを解く段階から、人間と情報を管理する段階へ移ったのである。
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