『転生したらバーバリアンになった』小説版・第543話ロングあらすじ【初心者向け・保存版】

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Surviving the Game as a Barbarian | Chapter: 543 | MVLEMPYR
Matherkin Lillgrams. 'I didn't expect to see him here…' My first reaction wasn't surprise or curiosity. It was confusion...

【第543話】偽りの生存者と“幽霊”の正体|『転生したらバーバリアンだった』あらすじ&考察

死んだはずの人間が、何事もなかったかのように目の前へ現れた。

第543話「幽霊(1)」は、そんな強烈な違和感から始まる。

ビョルン・ヤンデルの前に姿を見せたのは、マザーキン・リルグラムス。彼が本当に生きていたのなら、島で長老に向けた疑惑そのものを見直す必要がある。

だが、ビョルンはすぐに結論を出さない。

まず話を聞く。

そして確かめる。

その慎重さが、目の前にいる“マザーキン”の異常な正体へつながっていく。

死んだはずのマザーキン・リルグラムス

ビョルンが最初に感じたのは、驚きよりも混乱だった。

島の鍛冶場では、マザーキンの一族の紋章が入った短剣が見つかっている。それが長老たちへの疑惑を強める材料になっていた。

ところが本人は、その理由について説明した。

島を出る前、仲間たちが村人と物々交換をしており、不要な品と引き換えに大量の魔石を受け取ったという。

つまり、短剣が村に残っていたとしても不思議ではない。

しかも、その証言は以前の長老の説明と一致していた。

もしこれが事実なら――。

長老は無実だったのか。

ビョルンの中にも一瞬そんな疑問が生まれる。

だが、今分かっているのは証言が一致したというだけだ。

だから判断は後回しにする。

感情よりも情報を優先するという、ビョルンらしい切り替えだった。

銀獅子一族を壊滅させた未知の怪物

マザーキンによれば、彼らはビョルンたちが島を去った二日後に出発した。

しかし原住民との遭遇を経験したことで、自分たちの戦力不足を痛感。成長するために図書館の島へ向かったという。

その途中、未知の怪物に襲われた。

異様な翼。

スライムのような身体。

そこから突き出した奇妙な手足。

ビョルンにも心当たりのないモンスターだった。

銀獅子一族は壊滅し、船も破壊された。

マザーキン自身も海へ投げ出されたが、次に目を覚ましたときには図書館の島にいた。

背負っていた荷物が岩に引っ掛かり、それによって偶然生き延びたらしい。

その後は外へ出ることを諦め、食料を節約しながら誰かが来るのを待ち続けていた。

話としては十分成立している。

しかも、

「マザーキンなら、そういう選択をしそうだ」

とビョルンが思えるほど、人物像とも一致していた。

だからこそ厄介だった。

《歪んだ信頼》で真偽を確認

話を聞き終えたビョルンは、ベルシルに検証魔法を使わせる。

しかし魔法は失敗した。

マザーキンの魔法抵抗力が高いらしい。

証言に大きな矛盾はない。

普通なら、ここで一度保留してもおかしくない。

だがビョルンは、わずかな違和感を無視しなかった。

そこで取り出したのが《歪んだ信頼》。

貴重なアイテムだが、目の前の男はそれだけ確認する価値がある。

そして最初に尋ねたのは、ごく簡単な質問だった。

「お前の名前は?」

本人なら、迷う理由などない。

ところが――。

マザーキンは答えなかった。

「発見された」を繰り返す異常

静かな図書館で、マザーキンは不自然に右側へ視線を固定していた。

何度名前を尋ねても答えない。

ビョルンは無意識にハンマーへ手を伸ばす。

理解できないものを前にしたとき、戦士としての身体が頭より先に危険を察知したのだろう。

やがてハンマーを抜き、最後通告を与える。

それでも答えないなら、まず手足を潰して拘束する。

そして振り下ろそうとした瞬間だった。

「……発見された」

マザーキンがようやく口を開く。

しかし、自分の名前ではない。

「発見された。発見された。発見された……」

壊れた装置のように、同じ言葉を繰り返し始める。

先ほどまで自然に会話していた男が、自分の名前を尋ねられた瞬間に崩れた。

しかも恐れているのは、ビョルンに殺されることではないように見える。

正体を見抜かれたこと自体を恐れている。

「お前、何者だ?」

ビョルンは首を掴み、そのまま身体を持ち上げる。

すると今度は、

「どうすればいい?」

という言葉を何度も繰り返し始めた。

物理的にはビョルンが圧倒的に優位だ。

それなのに不気味さが消えない。

強い敵なら対処方法を考えられる。

だが今回は、何が起きているのか、そのルールそのものが分からなかった。

「何をすればいいか分かった」

突然、反復が止まった。

右側へ固定されていた目が動き、初めてビョルンを真正面から見る。

そして、それまでの混乱が嘘だったかのような落ち着いた声で告げた。

「何をすればいいか分かった」

ビョルンが警戒してハンマーを上げた直後――。

マザーキンの身体が爆発した。

肉と骨が飛び散り、至近距離にいたビョルンも血まみれになる。

だが爆発の威力そのものは弱かった。

首を掴んでいた手が少しかゆくなる程度で、傷すらない。

つまり、これはビョルンを倒すための自爆攻撃ではない。

目的は、

肉体そのものを破壊すること。

捕まる前に証拠を消したのか。

器が不要になったから捨てたのか。

少なくとも、敵は正体が露見した瞬間に自ら盤面から消えた。

ビョルンにとっては完全な勝利ではない。

偽物だと見抜くことには成功したが、正体を問い詰める前に逃げられてしまったからだ。

マザーキン本人ではなかった

状況を整理すると、一つだけ確かなことがある。

何者かがマザーキン・リルグラムスになりすましていた。

では誰がやったのか。

ビョルンが真っ先に疑ったのは長老だった。

正確には、長老本人か、長老側から送り込まれた何か。

目的として考えられるのは、長老への疑惑を解くことだ。

マザーキンが生きていて、短剣も単なる物々交換で渡したものなら、島で起きた出来事への疑惑は弱まる。

実際、ビョルンも一度は「長老は無実だったのか」と考えた。

一方で、監視が目的だった可能性もある。

ビョルンたちがどこへ向かい、何を探し、どの程度の戦力を持っているのか。

マザーキンとして仲間に入り込めれば、それらを簡単に調べられる。

聖水では説明できない“悪霊”の力

さらに問題なのが、その方法だ。

この世界の特殊能力の多くは、聖水(Essence)のスキルとして説明できる。

他人の身体へ干渉する能力も存在する。

しかしビョルンが知っているものには、術者が近くにいる、対象とのつながりが見えるなどの条件がある。

今回の現象とは一致しない。

そこでビョルンが連想したのが、

悪霊による憑依。

誰かの身体を器として使い、その人物として振る舞う。

そして正体が露見したら、その身体を捨てる。

もちろん、「長老=悪霊」と決まったわけではない。

現段階では、

長老側に悪霊のような肉体干渉能力があるのではないか

という仮説にすぎない。

それでも、この能力が本当に存在するなら極めて危険だ。

顔も声も信用できない。

本人らしい記憶を話したとしても、本人とは限らない。

今回も《歪んだ信頼》を使わなければ、ビョルンたちは騙されていた可能性がある。

本当に恐ろしいのは変身能力そのものではなく、

知っている人物の姿を使って警戒を突破できること

なのだ。

図書館がリセットされていた

マザーキンの一件を終え、一行は図書館探索へ戻る。

そこで大きな変化を発見した。

以前使用した召喚本が復活していたのだ。

空になっていた棚も元通りになり、床へ散らばっていた本まで整理されている。

さらに、ビョルンたちが上層へ進むために作った階段まで消えていた。

つまり、

図書館そのものが一定条件で初期状態へ戻っている。

リセット条件が時間なのか、雨季なのかはまだ分からない。

だが、これはメリットとデメリットの両方を生む。

無限に聖水を狙える巨大な狩場

アメリアが気づいた最大の利点は、召喚本を再利用できることだった。

モンスターを何度でも呼び出せるなら、

魔石。

経験。

そして聖水。

これらを継続的に集められる。

図書館は一度きりの攻略場所ではなく、

何度も利用できる育成拠点

になったわけだ。

一方、階段までリセットされるということは、上層攻略にも事実上の制限時間がある。

聖水集めに時間を使えば戦力は上がる。

しかし育成ばかり続ければ、リセットまでに最上層へ到達できない。

今後は、

育成と攻略をどこで切り替えるか

が重要になる。

一族全体を強化する聖水構築

ビョルンたちは狩猟班と捜索班に分かれて行動を始めた。

9等級、8等級、7等級と順番に狩り、4等級モンスターが出現する段階になると、必要な相手へ狙いを絞っていく。

高等級になれば、一戦ごとの危険と消耗が増える。

だから「倒せるモンスターを全部倒す」のでは効率が悪い。

重要なのは、

一族に必要な聖水を落とすモンスターを選ぶこと。

火力役だけを増やせばいいわけではない。

前衛。

遠距離攻撃。

範囲攻撃。

回復。

支援。

索敵。

移動。

集団戦では、それぞれの役割を補完する必要がある。

つまり最も強い聖水より、

今の一族に足りない能力を埋める聖水

のほうが価値を持つ場合もある。

図書館は、ビョルンが得意としてきた構築理論を、個人から一族全体へ広げられる場所と言える。

また狩猟班と捜索班を分けることで、モンスターを倒して成長しながら、同時に次の召喚本を探せる。

人数が増えたからこそ可能になった効率化であり、ビョルンたちの冒険が単純なパーティー攻略から集団運営へ変わってきたことも分かる。

《歪んだ信頼》がなければどうなっていたか

今回改めて怖いのは、偽物の完成度だ。

ベルシルの検証魔法は通らなかった。

証言にも大きな矛盾はない。

人物像までマザーキン本人らしい。

もしビョルンが、

「話は通っているから問題ない」

と判断していたら、偽物はそのまま集団へ入り込んでいた可能性が高い。

戦力。

仲間の能力。

探索目的。

狙っている聖水。

そうした情報をすべて観察できる。

今回ビョルンを救ったのは、明確な証拠ではない。

「何かがおかしい」という違和感を無視しなかったこと

だった。

ゲーム知識で説明できない現象が増えてきた今、この経験則はますます重要になる。

もし同じ能力が今後も使われるなら、顔や記憶だけで本人確認することも危険になる。

直前に仲間だけで共有した情報や合言葉など、新しい対策が必要になるかもしれない。

ビョルンが周回作業に集中する理由

図書館では、召喚して、倒して、回収するという単純な作業が続く。

ビョルンはこうした反復作業をむしろ得意としていた。

直前まで考えていたのは、長老、悪霊、憑依、未知の能力といった、今すぐ答えの出ない問題ばかりだ。

それなら、できることを進める。

敵を倒せば経験が増える。

魔石を取れば資源が増える。

聖水が出れば戦力が上がる。

反復作業は思考から逃げる行為ではない。

自分で制御できる問題へ戻る手段

なのだろう。

理解できない長老について考え続けるより、今は確実に強くなる。

その割り切りもビョルンらしい。

探索85日目――魂が別の世界へ引かれる

そうして時間が経過し、探索85日目。

ついに新しいメッセージが表示される。

「キャラクターの魂が共鳴し、特定の世界へ引かれている」

現段階では、その意味は分からない。

だが使われている言葉は非常に意味深だ。

「肉体」ではなく「魂」。

「場所」ではなく「世界」。

しかも今回のタイトルは「幽霊(1)」である。

前半では、他人の肉体を操っているような存在が登場した。

そして最後には、魂そのものに作用する現象が始まる。

二つが直接つながっている証拠はない。

それでも、

「人間の肉体と魂」

というテーマが一本につながり始めているようにも見える。

まとめ|「幽霊」が示す新たな脅威

第543話では、死んだと思われていたマザーキンの登場によって、一度は長老への疑惑が揺らいだ。

しかし《歪んだ信頼》を使って名前を尋ねた瞬間、偽物の正体が露見する。

「発見された」と繰り返し、最後には肉体そのものを爆発させて消えた。

これによって、長老側には悪霊のように他人の身体へ干渉する何らかの能力がある可能性が浮上した。

一方、図書館では召喚本が復活。

繰り返し聖水を狙える大きな育成拠点になった反面、階段までリセットされるため、上層攻略には制限時間がある。

そして探索85日目には、

「魂が特定の世界へ引かれる」

という新たな現象が発生した。

マザーキンを操っていた存在は何者なのか。

長老と悪霊にはどのような関係があるのか。

図書館のリセット条件は何なのか。

そして魂を引き寄せる世界とは何なのか。

強い敵なら、さらに強くなればいい。

図書館なら、ルールを理解すれば攻略できる。

だが、

誰が本人なのか分からない。

既知の聖水でも説明できない。

そして魂そのものに何かが干渉し始めている。

第543話「幽霊(1)」は、ビョルンたちがこれまでとは異なる種類の脅威へ足を踏み入れたことを示す一話となった。

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